日本エクスラン工業 重点3領域に機能素材
2024年10月09日 (水曜日)
東洋紡グループのアクリル繊維メーカーである日本エクスラン工業(岡山市)は、「衛材」「環境」「次世代エネルギー」を重点3領域と位置付け、機能アクリル・アクリレート繊維による新規用途開拓に取り組む。事業構造改革も断行し、2024年度上半期(4~9月)は営業黒字に浮上したもようだ。通期でも黒字確保を目指す。
同社は、アクリル繊維市況の低迷を受けて23年度まで収益が低迷していた。このため今期は西大寺工場(岡山市)への本社移転や、不採算・低採算品の販売縮小と生産規模の縮小、値上げの断行など構造改革を実施した。
営業面ではインテリア・リビング製品SPAとの取り組みを強化し、主に寝装用途で吸放湿や吸湿発熱など機能アクリル・アクリレート繊維を積極的に販売し、SPAの海外進出に合わせて海外への供給に力を入れた。この結果、利益面の改善が進み、24年度上半期は営業黒字に浮上したとみられる。
今後はSPAとの連携に加え、「衛材」「環境」「次世代エネルギー」を重点3領域と位置付け、アクリル・アクリレート繊維の機能を生かした新規開拓に力を入れ、具体的な成果も上げることで通期での黒字確保を目指す。
衛材領域では既に高吸水機能アクリレート繊維「ランシール」が欧州で創傷などに対する湿潤療法に使用する先端創傷被覆材として採用された。採用した製材メーカーが現在、米国での販売に向けた認証取得を進めており、さらなる需要拡大が期待できる。また、国内ではサニタリーショーツの吸水層に採用されており、販売が拡大した。今後もこうした新規用途の開発を進める。
環境領域では、高分子吸着剤であるデシカント材料による吸湿材「デシカントローラー」などをビル・工場用空調と家庭用空調に向けて拡販する。無機物系の吸湿材と比べて乾燥再生工程で必要なエネルギー量が少ない点を生かし、省エネ・低環境負荷の除湿材料として打ち出す。現在は中国市場への販売が中心だが、今後はインドや韓国、台湾などへの提案を進める。
次世代エネルギー領域では、次世代太陽光発電の材料として機能微粒子などの開発が進む。こちらも将来的に需要拡大が見込めるため、取り組み先との連携を強めながら重点的に開発と提案を進める。