介護用ベッド・マットレス/介護負担軽減・省人化に寄与/施設のDX化も
2024年10月07日 (月曜日)
高齢者の増加に伴い、介護福祉向け製品・サービスが進化している。ベッドやマットレスも同様。利用者だけでなく、介護する人の負担軽減や人手不足対策としても開発が進む。(岡崎 直子)
厚生労働省によると、全ての団塊世代が75歳以上となる来年に2人に1人が後期高齢者となり、65歳以上の高齢者数がピークとなる2040年には、その割合が約35%になるという。一方で15~64歳の生産年齢人口の減少は加速。介護人材の不足もいわれて久しい。
こうした状況を踏まえ、介護向けベッド、マットレスでは、利用者の使用感向上に加え、施設や在宅で介護する人、介護用品レンタル事業者の負担も軽減する製品・サービスが増えてきた。
フランスベッドは、高通気マットレスを「ツインウェーブ」としてリニューアルし、11月をめどに発売する。東洋紡エムシーと共同開発。同社の3次元網状繊維構造体「ブレスエアー」を2層重ね、ハード面とソフト面のリバーシブル仕様に進化。端を高密度化し硬めにすることで、端座位の安定性も確保した。
カバーに波型キルティングを施して中材をずれにくくし、端座位部分は細い波型にした。ハードとソフトで色も変えている。これらは単なるデザインではなく、介護する人にも違いを分かりやすくするため。寝心地や仕様に関するレンタル事業者への問い合わせも電話一つで済み、人手不足に悩む事業者の来訪の手間を省く狙いもある。
電動ベッドでは、運搬が楽、工具不用で組み立てが楽、ショートとレギュラーサイズのモーターの組み換えが楽な「ラクダ」を発売した。樹脂ボードタイプもそろえ、軽さや手入れ簡単で清潔に使えることも訴求する。
イノアックリビングは「ファセットケアマットレス」の利用拡大に力を入れる。一般用で好評の「ファセットマットレス」の介護版。マットレス両面に入れた六角形スリットによる優れた体圧分散性はそのままに、床ずれ防止やレンタル事業者の洗浄・乾燥しやすさを考慮した、高通気のウレタンフォームを選定。昨春の発売以来、介護福祉施設などで採用が進んでおり、在宅介護向けにも推進していく。
介護・福祉用品「αプラ」などを手掛けるタイカ(東京都港区)は、自動体位変換機能を搭載したマットレス「αプラ ネオート」を年内に発売する。ウレタンフォームの下に配置した六つのエアセルが、肩・胸・腰の順に穏やかに駆動。自動で自然な寝返りを促し、介護負担を軽くする。
パラマウントベッドはこのほど、NECの子会社のNECプラットフォームズから、介護施設向け排せつ自動記録システムの事業を譲受した。自社の見守りシステム「眠りコネクト」と連携させ、利用者の健康状態を高精度で把握する。体重測定機能付き介護ベッドなども展開しており、デジタル技術で社会や企業を変革するDX化で、施設の省人化にも寄与する。
在宅介護向け電動ベッドでは、「楽匠ウイング」シリーズを新規投入した。100センチ幅で大きく寝返りがうてるほか、長さが191センチから205センチに延長できる。レンタル事業者は延長部専用マットレスを備えれば、1台でレギュラーからロングまで対応でき効率化が図れる。