ユニフォーム 最前線 変わる市場 機敏に捉えよ(3)シキボウ 繊維部門繊維営業部 ユニフォーム課長 川口 雄司 氏
2024年10月04日 (金曜日)
業界盛り上がる循環を
――上半期(4~9月)を振り返ると。
前年同期に比べ減収基調にありますが、34双ツイルといった従来の定番商品の受注は緩やかな減少で、各ユニフォームメーカーの在庫調整がひと段落してきたようです。SDGs(持続可能な開発目標)に関連したものやストレッチなど新商品への引き合いが増えてきました。利益面も為替が一時期1㌦=160円台と想定以上になり、厳しい環境にありましたが、大きく改善しつつあります。
各分野を見ると、ワーキングは新商品への評判が良く、追加の受注や別注対応も増えています。白衣も定番商品を中心に順調です。シャツが中心のスクールはワーキングとは逆に昨年の前倒し生産の反動を受け、在庫調整の影響が数字に表れています。これから受注が増えていくタイミングとなりますが、動きが鈍いですね。
――特に販売堅調な素材は。
特殊技術による加工生地「パワール」や、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維使いといったストレッチ素材の供給が増えています。
校倉(あぜくら)造りの構造を取り入れた高通気生地「アゼック」も年間を通じて受注が増えています。強撚糸にストレッチを加えるといった新たな素材バリエーションも拡充しており、この1、2カ月で大手企業向けに別注のツナギ服の素材としても決まりました。
これらの素材に環境配慮型素材やフェアトレード綿糸「コットン∞」(コットンエイト)を使うケースも増えてきました。新型コロナウイルス禍前では定番と差別化商品の割合は6対4ぐらいでしたが、今ではアゼックを含め差別化商品が半分強となっています。
――下半期に向けてはいかがですか。
アゼックやコットン∞ではカタログ定番商品への採用が増えており、通期(2025年3月期)では増収に転じていければと思っています。
今年4、5月に大阪や東京だけでなく織布・染色加工子会社のシキボウ江南(愛知県江南市)や岡山市、広島県福山市でも展示会を開き、より多くの方々に当社の素材や取り組みを知ってもらうことができました。シキボウ江南への見学者も増え、今では月2回のペースで見学を受け入れています。
ポロシャツ、Tシャツなどの製品供給も強めています。現状売上高の1割ほどですが、要望が増えており、もっと対応力を高めていきます。
素材、アパレル、ユニフォームの購入企業それぞれがユニフォームに価値を感じ、業界全体が盛り上がっていくような循環が構築できればと思っています。将来的には欧米を中心に海外への販路開拓にも取り組んでいきたいと考えています。
(毎週金曜日に掲載)