技術の眼/YKK/タンスのゲン/イオン/テクセット、木村家/瀧芳/砂山靴下

2024年10月02日 (水曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こし得る重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈YKK/横ストレッチテープの金属ファスナー〉

 YKKの「EXCELLA(エクセラ)横ストレッチテープ」は、高級感のある外観と滑らかさを追求した金属ファスナー「エクセラ」と、伸縮性が高い横ストレッチテープを組み合わせた製品。横方向へのストレッチ性があるテープを使用しているため、ファスナー幅方向の負荷がかかってもスムーズに開閉できる。

 既存のエクセラより、摺動抵抗(ファスナーの開閉時の抵抗)を軽減させた。そのため、硬質な皮革製品やバッグ、財布など曲面が多いアイテムでも、滑らかな開閉が実現する。開閉がしやすくなることで、布や皮革への負荷も減少し、愛用品の長持ちにもつながる。

 10月に大阪、11月に東京で開催する展示会「YKK ファスニング・クリエーション for2025」で、エクセラ横ストレッチテープの魅力を発信する。

〈タンスのゲン/解体容易なマットレス〉

 家具・インテリアや寝具のネット通販事業を手掛けるタンスのゲン(福岡県大川市)は、解体・分別が容易で家庭ごみとして処分できるポケットコイルマットレスの販売を始めた。

 サイズが大きく重量もあるマットレスは、自治体の粗大ごみ回収やごみ処分場への持ち込み、廃品回収業者への依頼などの処分方法が一般的だが、手間と時間、費用がかかる。自ら解体・分別することも可能だが、重労働で大きな手間がかかることが課題だった。

 同社が発売したポケットコイルマットレスは、工具を使わず解体・分別が可能。特に一般的なポケットコイルマットレスは不織布を一つずつ切り開いてコイルを取り出す必要があるが、同製品は縫い糸を引っ張り出すだけで不織布を開口することが可能。大量のポケットコイルを取り出すことはこれまでと変わらないが一つ一つ不織布をカットする手間が省けて短時間で解体できる。適度なクッション性など寝心地にもこだわった。

〈イオン/血行改善する肌着〉

 イオングループは、磁気治療器を製造・販売するピップと協働し、同社の「ピップエレキバン」で使用している磁石を張り付けた機能性インナーを開発した。磁気の力で血行改善を促す。PB「トップバリュ」の機能性インナー「ピースフィット シルキーファクト」シリーズで展開する。

 厚生労働省の2022年の国民生活基礎調査によると、病気やけがなどで自覚症状のある男女の症状の1位は「腰痛」、2位は「肩こり」だった。そこで磁器の力で着ながら血行改善できる同商品を投入。婦人3分袖と紳士半袖Vネックには肩と背中の部分に、婦人10分丈ボトムには腰部分に磁石を配置した。

 磁気が体内成分に働き掛けて筋肉内の血行を良くし、老廃物を流すことで凝りを防ぐ。身生地は、滑らかな肌触りと体の動きにフィットするピースフィット シルキーファクトの生地で、年間を通して快適に着用できる。いずれも2838円。

〈テクセット、木村家/柔らかさ続くタオル〉

 帝人フロンティアグループのテクセットとタオル企画販売の木村家(愛媛県今治市)は、浅野撚糸の特許技術「スーパーゼロ」を応用し、新品のような柔らかさが長続きするタオル「YAOKI」(ヤオキ)を開発した。

 使っているうちに風合いが硬くなってしまうタオルの課題解消に向け、空気を多く含んだ軽さと柔らかさがあり、毛羽落ちが極端に少ないスーパーゼロに着目。浅野撚糸の協力を得ながら、綿とポリエステルを交撚した次世代素材「パーマネント・サステイン・ソフト」(PSS)を開発し、パイル部分に用いた。ポリエステルがパイルを支えるように絡み合い、洗濯を繰り返してもパイルが起き上がりやすい構造を実現。“七転び八起き”に着想を得て「ヤオキ」と名付けた。

 綿100%のような風合いながら、パイルの30%弱がポリエステルになり速乾性が向上、伊藤忠商事のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」の採用で持続可能性も訴求する。

〈瀧芳/災害時用毛布収納バッグ〉

 織毛布製造の瀧芳(大阪府泉大津市)は、災害時に持ち運びできる毛布収納バッグを、泉大津市の要請を受けて開発した。

 毛布は災害時の重要な備蓄物資だが、温かい厚手の毛布は保管スペースを取ることが課題。自治体が全住民分を備蓄することも、住民が自宅から持ち運ぶことも容易ではない。自宅などにある毛布を持ち運びしやすいバッグを発想し、アパレル企画会社のオールユアーズ(東京都世田谷区)とともに、毛布収納バッグ「モフバッグ」を開発した。

 モフバッグはポリエステル使いで、直径約40×長さ65センチ。毛布を入れやすいように開口部を大きく確保し、ひもでくくれるようにした。シングルサイズ(140×200センチ)の厚手のマイヤー毛布も収納できるとしている。自宅でコンパクトに保管できる。持ち運ぶ際には、ベルトをたすき掛けにすることで両手が使える。

〈砂山靴下/「履く用バスロマン」〉

 レッグ関連製品を企画・製造・販売する砂山靴下(東京都葛飾区)は、アース製薬の入浴剤「バスロマン」との協業商品を発売した。「入浴剤入りの風呂で温まった足を眠る直前まで保温する」をコンセプトにした靴下をそろえ、「履く用バスロマン」の名称で展開する。

 入浴剤を入れた湯船に漬かると、温浴効果が高まり、湯冷めしにくいといわれる。入浴後の“ぽかぽか感”を寝る直前までしっかりとキープして心地よい眠りに導くとの思いで開発したのが、今回の履く用バスロマンだ。足元を優しく温めるための工夫を施している。

 工夫の一つが、温める部分によって種類の異なる機能糸の使用。フット部の内側はアクリルレーヨン使ったパイル編みとし、寒さを感じやすい爪先と冷えに関するツボが多い足首には吸湿発熱のバルキーアクリルレーヨンを用いる。レッグ部分の肌側には三山の吸湿発熱糸「ホットハウス」を応用している。