繊維ニュース

この人に聞く/ロイネ 代表取締役社長 橋本 徳也 氏/国内外の生産体制拡充

2024年09月30日 (月曜日)

 総合アパレル製造卸のロイネ(東京都品川区)は、伊藤忠商事繊維カンパニーの中核的な事業会社の役割を担う。得意とするニット生産の進化を図りながら、織物の生産体制も拡充し、多様なニーズの取り込みにつなげている。橋本徳也社長に現状と今後の方向性を聞いた。

  ――アパレル生産を取り巻く環境が激変しています。

 当社は「ニットが強い」というイメージが定着していますが、近年は織物のニーズにも対応できる供給体制の整備を進めています。

 1993年に中国山東省で青島貴華針織を設立したのを機に、本格的な海外事業が始まりました。同社の工場は編み立て・染色・縫製を一貫して手掛け、当社にとって最大規模の生産拠点です。インナーやスポーツ向けのアイテムを製造しています。

 ASEANでは、青島貴華針織の100%子会社である貴華ベトナム(タイニン省)が生産の中核を担っています。ここではニットに加え織物の生産にも着手していますが、2025年春には織物生産のための「第3工場」が稼働を開始する計画です。

  ――国内の生産体 制は。

 島根県でMACという100%出資の縫製工場がニット生産を担ってきました。新たにMACの織物の生産拠点を兵庫県に設け、スポーツ関連のアイテムを製造しています。この織物の工場も現在は順調に稼働しており、国内でもニットと織物を手掛けられる体制が整いつつあります。

  ――旧来の技術に焦点を当てた取り組みも行っています。

 新たな試みとして、胴回りの寸法に合わせた口径の小さな編み機「小寸」(こすん)で作る丸胴生地を提案しています。筒状に編んだ生地を、開反し縫い合わせたりせずに使うことで、脇の縫い目がなく快適な着心地のアイテムを生み出せます。時代の変化によって廃れつつあった技術を、青島貴華針織の工場で再活用しています。

 新しい視点を加えることで顧客への提案も幅が広がります。生地のロスを削減する環境に優しい製法である点も訴求します。小寸の取り組みを通じ、社内でモノ作りに対する意識が高まったようにも感じています。

  ――事業拡大を支えるために必要なこととは。

 人材の強化が急務であり、新卒採用の人数を倍増させました。今後は技術・開発の面で活性化につながる人材を積極的に採用していく方針です。