マレーシア東レグループ/ASEAN連携で高度化/「エボトゥルース」積極提案
2024年09月27日 (金曜日)
ポリエステル・綿混紡織加工のペンファブリック(PAB)、ポリエステル短繊維製造のペンファイバー(PFR)などで構成するマレーシア東レグループは、ASEAN域内の東レグループ各社との連携を一段と強め、同地域における短繊維織物事業の中核拠点として事業のさらなる高度化を推進する。
PABは新型コロナウイルス禍以降、シャツ地需要の減退などを受けて厳しい事業環境が続いている。2024年度(25年3月期)も市況が悪く、受注は低調。ただ、ここ数年の構造改革の成果もあり、地道なコストダウンで利益を確保することに取り組んでいる。来期に向けて確実に利益を出せる体質を作り、事業を拡大することを重要課題に挙げる。
そのためにインドネシアのセンチュリー・テキスタイル・インダストリー(CENTEX)やイースタンテックス(ETX)と生機や染色加工工程を相互利用するなどASEAN域内の東レグループ各社との連携を一段と強める。PABの開発・マーケティング機能や保有する液流染色の活用、東レ独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」による差別化原糸を活用した生地開発などでASEAN地域における短繊維織物事業高度化で中核的役割を担うことを目指す。日本や中国の研究開発拠点との連携も重要になる。
また、東レの技術に基づいて海外で生産するファッションテキスタイルのブランド「エボトゥルース」を積極的に打ち出す。シャツやワークウエアに加えて、ワークウエア調カジュアルウエアなどに向けて差別化原糸・原綿を活用した高付加価値品の開発・提案に取り組む。
PFRも24年度は厳しい市況が続く。アジア市場は中国やトルコから低廉な原綿の流入が続いていることが要因だ。ただ、サステイナブル素材への要望が一段と高まっていることから、リサイクル原綿の販売は拡大した。
このため引き続きリサイクル原綿など差別化わたといった東レのサプライチェーンを活用した高付加価値原綿の拡販に取り組む。ASEAN域内だけでなく、インドやパキスタンなど今後の需要増が期待できる市場への販路開拓を進める。