繊維ニュース

豊島 海外販売やDX強化

2024年09月27日 (金曜日)

 豊島は今期(2025年6月期)、素材の海外販売強化やデジタル技術で企業を変革するDXなどの取り組みを加速する。

製品事業では引き続き顧客との深耕を図ることに加えて、豊島半七社長は「会社の新たな成長のために次の商材も考えていきたい」と話す。

 前期の海外販売について、豊島社長は「少しずつだが増えている」としつつも、「産地をはじめとした国内向けの商売が低迷する中で、今の素材部門の規模を維持していくためには海外販売をさらに伸ばさなければならない」と強調する。

 具体的には中国などの海外現法を活用しながら拡大を目指す。欧米や中東などへの提案もこれまで以上に加速する。三国間貿易を駆使しながら、グローバルに収益を確保できる体制を確立する。

 DXの加速に向けては「コストがいくらかかってもよいから進める」(豊島社長)という姿勢で、取り組みをさらに拡大させる。単体ではなく、複数のAI(人工知能)サービスを複合させた提案などを推進する。DX関連企業への出資も計画する。

 製品事業は家電や食品などの雑貨といった非繊維の取り扱いが増えているが、その先の商材や商圏も見据えており、モノだけでなくサービスの提供も視野に入れる。「将来がどのような世の中になっているかを考えながら、これまでとは違う視点を持ち模索していきたい」と語る。

 今期足元の状況は苦戦を強いられている。第1四半期(7~9月)は減収を見込んでおり、第2四半期でのカバーも厳しい見通し。通期目標では売上高2千億円、経常利益90億円を掲げる。

営業・経常最高益更新

24年6月期

 豊島の24年6月期単体決算は売上高2202億円(前期比2・1%減)、営業利益88億4500万円(23・1%増)、経常利益116億2100万円(28・5%増)、純利益80億9800万円(43・6%増)だった。微減収も大幅増益となり、営業ならびに経常利益は過去最高額を更新した。

 繊維原料・原糸・織物を合わせた素材部門合計の売上高は726億円で、前期比12・9%減だった。繊維原料は綿花相場の下落と販売数量の減少により、綿花部門の減収が響き16%の減収。原糸は国内産地向けの販売が振るわず、円安による仕入原価の高騰を販売価格の引き上げにつなげることができずに7%の減収だった。織物はユニフォーム向けが落ち込むも、衣料品やリネンサプライ向けの販売で一部を補填した。12%の減収も微増益を確保した。

 製品部門は1439億円で前期比4%の増収となった。トレンド商品の情報共有化による拡販と、主力販売先との商取引を深耕して販売品種の拡大などが実現できたため、増収につながった。