ごえんぼう

2024年09月27日 (金曜日)

 活版印刷が再評価されているようだ。ちょっとしゃれたカフェやパン屋、雑貨店のショップカードなどで見掛ける▼凹凸のある版にインキを付け用紙に転写する活版印刷。転写時の圧力で文字や図の縁のインキが盛り上がり、にじんだり、かすれたりする。かつてはデメリットだったが、今では手仕事のぬくもりや素朴さ、オリジナリティーなど魅力と捉える人が増えてきた。名刺にも好評。「市谷の杜 本と活字館」で聞いた▼同館は大日本印刷の元印刷工場。大正15年竣工(しゅんこう)のレトロモダンな建物を修復・復元し、近代印刷の原点である活版印刷と本作りを今に伝える。ずらりと並んだ活字の棚から、職人が一つ一つ活字を拾って版に植字し、平台印刷機を回す様子も見られる▼デジタル製版が主流となり、電子書籍も急伸する今、誤植やインキのにじみが懐かしい。読書の秋、活版印刷の名作を探す古書店巡りも面白い。