タイ東レグループ R&D型拠点に転換
2024年09月25日 (水曜日)
タイ東レグループは、これまで取り組んできた生産品種の高度化を一段と加速させる。そのために革新技術の導入や設備投資にも力を入れる。在タイ国東レ代表の木村将弘トーレ・インダストリーズ〈タイランド〉(TTH)社長兼セルロシック・バイオマス・テクノロジー(CBT)社長は「タイをR&D型拠点へと転換する」と強調する。
木村代表によると、タイ東レグループの2024年度上半期(4~9月)商況は比較的好調に推移している。合繊長繊維製造のタイ・トーレ・シンセティクス(TTS)は産業用途が好調。特にエアバッグ向けナイロン長繊維は生産・品質管理を強化した成果が続く。シートベルト向けポリエステル長繊維は仕向け地ごとに濃淡がある。衣料向けポリエステル長繊維は前年同期比横ばいで推移した。
紡織加工のトーレ・テキスタイルズ〈タイランド〉(TTT)もエアバッグ基布が好調だ。TTSと連携した生産・品質管理によって競争力が回復した。衣料用長繊維織物もTTSと連携したリサイクル原料使い原糸の活用でスポーツ向けなどが堅調。一方、短繊維織物は市況低迷が続くシャツ地などポリエステル・綿混織物は生産規模を縮小したが、中東民族衣装用織物などポリステル短繊維織物は増収となっている。
下半期以降に関して木村代表は「タイは開発型の事業運営でなければ生き残れない」と強調する。このためTTSはアユタヤ工場に複合紡糸機を新たに導入し、25年に稼働する予定。これを活用し、独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を活用した原糸開発を進める。TTTも風合い加工機の新規導入や液流染色機の更新を進めた。課題の短繊維織物も長短交織や風合い加工など生産品種の拡充・高度化を進める。産業用途はエアバッグ原糸・基布やブレーキホースなどゴム資材を中心にインド市場への参入を強化する。
また、タイにはDM三井製糖との合弁で非可食バイオマス原料から化学品や燃料生産の実用化に取り組むCBTがある。植物由来ナイロン66原料の開発・実用化を進めており、将来的に東レのバリューチェーンに組み込むことを目指している。そのためにタイに研究開発などの人員を拡充してきた。木村代表は「現在、TTSとTTTもCBTと同様に開発のための人員を集めている。タイをR&D型拠点に転換し、東レのASEAN繊維事業における高度化の起点となることを目指す」と話す。