帝人フロンティア 収益力高め存在感
2024年09月24日 (火曜日)
帝人フロンティアは、収益力を高めている。平田恭成社長は「基礎収益として100億円の事業利益が計上できる力が付いてきた」とし、今期(2025年3月期)の事業利益目標145億円(帝人の繊維・製品セグメントの数字、以下同)に向けて着実に前進する。
中期的施策ではASEAN地域での取り組みを強化する。
同社は、24年4~6月期に前年同期比増収増益の売り上げ収益830億円、事業利益44億円を確保した。衣料繊維の販売量増加などを理由に、年間の事業利益見通しを当初の125億円から145億円に上方修正したが、上半期は修正した利益目標に向かって堅調な推移を見せている。
平田社長は「新型コロナウイルス感染症の拡大を機に不採算ビジネスを見直した。その結果、収益力は着実に高まっている」と強調。その上で「利益は市場動向に左右される。このため145億円の事業利益が『常に計上できる』とは言えないが、100億円を安定して計上できる実力は付いてきた」との認識を示す。
上半期は、衣料繊維が良好な動きを見せたが、その中でもけん引役を務めたのがポリエステル長繊維を中心とする化合繊織・編み物を製造・販売する中国拠点の南通帝人だった。産業資材では、生活製品本部のテレビ通販などが伸長した。下半期は衣料繊維、産業資材ともに計画に沿って着実に前へ進む。
中期的にはASEAN地域を軸とするオペレーションの強化・拡充に取り組む。衣料繊維ではタイの合繊織布・染色加工会社であるタイ・ナムシリ・インターテックスの収益強化を図り、インドネシアも拡充する。産業資材では、タイでポリエステル繊維を製造・販売するテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)を中心に強化する。
生産面だけでなく、2次製品の市場としての開拓を加速する。中国の次の市場として目を向けているのがベトナムで、1年以上前からカジュアル衣料を中心に市場開拓に取り組んでいる。「本格化までにどれだけの時間が必要かは未知数だが、今トライする必要がある」(平田社長)とし、ベトナムの次の地域・国も視野に入れる。