繊維ニュース

伊藤忠Gのプロミネント〈ベトナム〉/第三国向け拡大がテーマ/今期は微増収微増益

2024年09月20日 (金曜日)

 伊藤忠商事グループのベトナム繊維企業、プロミネント〈ベトナム〉の今期(2025年3月期)ここまでは、前年同期比で微増収微増益、計画比で横ばいの推移となっている。通期でも同様の水準になる見込み。今後は糸・生地からの差別化提案を強みに内販や第三国向けを拡大させていく。

 同社の主要事業は対日・対米の縫製品の生産・品質管理。今期はここまで、米国向け先染めシャツ輸出が復調し、前年同期比10%増で推移する。ベトナムでは昨年、欧米からのオーダー急減により廃業や人員削減を進めた縫製工場が相次いだ。しかし今年はこれが急激に戻り、一部で縫製スペースがタイト化。同社の対米シャツ輸出も「縫製スペースがもっとあればさらに伸ばせた」と言う。

 一方、対日はユニフォームやカジュアルウエアが苦戦したが、グループ内ブランドへの供給が増えるなどスポーツウエアは伸びた。ユニフォームや安価なカジュアルウエアの縫製は、「より安く」を求めてベトナムからミャンマーやカンボジアへシフトする流れが見られると言う。

 こうした中、同社は「付加価値の高いものを提案、生産していくことがベトナムの役割」とし、付加価値提案に力を注ぐ。糸・生地の開発を行うR&Dセンターがその一翼を担う。同センターが主体となって開発、調達する再生ポリエステル糸「レニュー」やその生地、日本製の電導糸などが対日や内販で販売実績を積んでいる。「日本、ASEAN全体で糸・生地を調達、開発」し、それを縫製品OEM/ODM事業における差別化提案に生かしていく。

 販路としては、対米や対中の拡大がテーマ。対米ではシャツ以外に重衣料系も増やす。対中拡大に向けては、伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)と連携し、ベトナム縫製の中国ブランド向けなどを開拓したい意向。

 内販(ベトナムローカルブランド向け)ではグループとして資本・業務提携する現地の有力SPA、コーウィルとの協業が進展している。今後は日本本社が持つブランド事業のノウハウをコーウィルに落とし込むなどでさらなる発展に資するとともに、コーウィル以外の内販先も探す。