ユニフォーム 最前線~変わる市場 機敏に捉えよ~① クラボウ 繊維事業部ユニフォーム部長兼東京ユニフォーム部長 絹本 良和 氏

2024年09月20日 (金曜日)

ユーザーニーズしっかりつかむ

 ここ数年続いた値上げや、社会の多様化などで大きく変わりつつあるユニフォーム業界。素材メーカーや商社はその変化をどのように捉え、これからの成長戦略を描くのか。担当者に聞いた。

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――上半期(4~9月)の商況は。

 ユニフォーム地の販売は順調に伸びましたが、利益面では厳しいです。4月からの第4次価格改定の効果は下半期から出てくる見通しで、依然としてコストは高止まりの状況にあります。

 ただ、企業別注向けの案件は確実に増えています。2022年からユニフォームメーカーや商社、販売代理店と連携しながら別注に力を入れ、染色加工の徳島工場(徳島県阿南市)をはじめ、QRで対応できる体制を整えています。1回の受注としてはそれほど大きくないものの、ある程度の品番の生機を抱え、加工対応もできるようにしています。

 暑熱リスク管理・体調管理システム「スマートフィット・フォー・ワーク」の販売も順調に伸びています。

――下半期は。

 来期から始まる中期経営計画の準備期間と位置付けており、特に「ブレバノ」「プロバン」といった難燃素材、アシストスーツ「CBW」、スマートフィットを軸に最終ユーザーのニーズを捉えた商品の訴求に力を入れていきます。

 備蓄アパレルメーカーへの新商品の提案も加速させます。リサイクルが意識され、ポリエステル100%素材といった単一素材の要望が強くなってきました。しかし、そればかりになれば面白みに欠ける。長年ポリエステル・綿混素材が使われてきた理由があるわけで、もっと混紡素材の良さを追求していきます。

 輸出ビジネスも強化し、専任の担当者を置きました。商社のクラボウインターナショナルとの連携や、東南アジアの拠点を通じて、供給に適した体制にしていきます。

――市場が大きく変わり始めています。

 ユーザーのニーズをしっかりとつかんだ商品展開が必要です。QRとまではいかないまでも、納期対応の改善が必要であり、素材で3カ月、縫製で3カ月のオーダー後6カ月で商品を届けられるようにしなくては、満足度を得られません。

 QR対応がしやすい海外一貫生産が増えている一方で、粗悪な海外素材の採用で製品のグレードも大きく低下しています。色合わせや生地の物性など、品質にも細心の注意を払わなくてはいけません。トレーサビリティーに対する意識も高まっており、製造工程をはじめ環境に配慮した国内素材の採用を改めて発信していきます。

(毎週金曜日に掲載)