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ユニテックス/「パルパー」の生産増強/小口化とQRに対応

2024年09月19日 (木曜日)

 ユニチカグループの在インドネシア紡績工場、ユニテックス(西ジャワ州ボゴール)はこのほど、主力の複重層糸「PALPA(パルパー)」の生産能力を増強した。

 同社は、パルパーを主とした差別化紡績糸の生産に特化しており、汎用的な紡績糸の生産はごくわずか。直近の錘数は約3万錘。

 パルパーの生産設備を増強した背景には、パルパーの多様化や生産ロットの小口化に迅速に対応し利益率を高める狙いがある。

 中西輝薫社長は、今回の生産設備増強について「パルパーの多品種化とQR対応に伴い、現状では生産効率を上げるのは難しいと判断した」と説明し「需要のある、特定の素材のパルパー専用ラインを作るなど、需要に即応する生産体制を整え利益向上に努めたい」と話す。

 パルパーはポリエステル繊維を芯に、綿を鞘とした複重層糸。1975年の発売から半世紀近く経った今も需要が底堅いユニチカグループのロングセラー商材の一つだ。その構造により糸に2種類の繊維の良さを持たせることができる。

 パルパーの用途は衣料品全般。ユニテックスはユニチカグループのパルパー生産の大部分を担う。売り先は日本向けが大半を占め、現地でのシェアはまだ少ない。

 ポリエステルを芯、鞘を綿としたものが基本だが、ポリエステルをリサイクル品や機能性のあるものに置き換えた商材、オーガニックコットンやBCIコットン、CmiA(アフリカコットン)などサステイナビリティーとトレーサビリティーを重視した素材を使ったもの、最近ではインドネシア原産のカポックを芯に、鞘を綿にしたものなど、顧客の需要に応じたパルパーを開発・生産している。

〈上半期は増収減益〉

 ユニテックスの上半期(1~6月期)決算は増収減益となったようだ。原材料の高騰や生産効率の伸び悩みが利益を圧迫している。

 同社は、日本のユニチカトレーディングと連携して素材を供給している。下半期は今回のパルパーの生産設備増強をはじめ生産効率の改善で収益を改善させる。本拠地のインドネシアでは、現地のユニチカトレーディングインドネシアとも連携して内販に取り組む。