LIVING-BIZ vol.110(5)

2024年09月18日 (水曜日)

〈24年1~6月寝具/輸入・生産数量とも減少/国内市場の低迷響く〉

 2024年1~6月のふとんは、輸入数量、国内生産数量とも前年同期を下回った。国内寝具市場が低調で、計画を含めて数量を抑制する傾向にある。

 財務省の貿易統計によると、24年1~6月のふとんの輸入数量は前年同期比3・2%減の791万枚。その他が4・6%増の39万1368枚だったものの、合繊などの人造繊維ふとんが0・8%減の672万7021枚、羽根・羽毛ふとんが21・7%減の79万2582枚と落ち込んだ。羽根・羽毛ふとんは、春夏向けダウンケットがここ数年堅調だった反動で落ち込んだことが影響したとみられている。

 国内生産も伸び悩んだ。経済産業省の生産動態統計によると、従業員20人以上の事業所の1~6月のふとん生産数量は、前年同期比2・8%減の101万枚だった。掛けふとんが1・7%減の20万5547枚、敷ふとんが1・9%減の42万7482枚、こたつふとんが56・6%減の8421枚、羽毛・羽根ふとんが1・7%減の37万3044枚といずれも落ち込んだ。

〈寝具・インテリア関連/新たな切り口で提案強化/「東京ギフト・ショー」で〉

 9月4~6日に開催された「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」は、総来場者22万1478人(前秋展比4・9%増)と盛況だった。寝具・インテリア関連企業は新たな切り口で提案を強め、需要創出、販路拡大に手応えをつかんだ。

 プレーリードッグは、ぬいぐるみ「おもぬい」を新提案。既存のタオルやバッグなどで多い動物柄と親和性が高く、提案の幅を広げる。約2キロの重みがポイント。アレルギーや生活環境などでペットを飼いたくても飼えない人にリアルな抱き心地、癒しを届ける。アニマルセラピーの代用として、福祉施設への広がりも期待する。

 昼寝用寝具「ヒルネガオ」を企画販売するFLHは、適度な重みでリラックス効果や入眠効果が期待される加重アイマスクを中心に訴求。男性が職場で仮眠しやすいよう、ガジェット(便利な電子機器小物)系デザインに仕上げた「ネラックス」加重アイマスク(13日発売)も好評だった。

 帝人フロンティアグループのテクセットとタオル企画販売の木村家は、柔らかさが持続するタオル「ヤオキ」を披露。浅野撚糸の「スーパーゼロ」技術を応用し、綿と再生ポリエステルを交撚した「パーマネント・サステイン・ソフト」を開発、パイルに用いた。

 綿100%調の風合いながら、ポリエステルがパイルを支えるように絡み合い、洗濯を繰り返しても起き上がり、柔らかさが続く。12月にネット通販の「テイジンモール」で発売予定だが、卸販売のニーズも出ている。

 大津コーポレーションは、“リビングで備える”という新たな切り口で、得意のブランケットを発信した。吸湿発熱の新ブランド「オンドモア」のハーフケットやひざ掛けを、クッションの中材や壁掛け収納し、避難時に持ち出しやすくした。避難所でも日常の感覚で落ち着けるのではと注目された。

〈畳でおもてなしPJ/シンボル事業など検討/業界内外の活性化へ〉

 全日本畳事業協同組合(全日畳)の「畳でおもてなしプロジェクト(PJ)実行委員会」は8月下旬、都内で2024年度全体会議を開き、シンボル事業の構築など今後の取り組みについて議論した。

 石河恒夫実行委員長(全日畳理事長)は冒頭、「今年度も和文化産業連携振興協議会や建築士会のイベント協賛などを通して畳文化の継承・発展に力を注ぐとともに、今の時代に即したより良い活動内容にしていこう」と呼び掛けた。

 夏休み子供向けイベント、学生対象の空間コンペなども含む活動は、畳メーカー、商社、畳店などの協賛金やボランティア頼みのため、同PJのシンボルとなる事業の構築が急務となっている。

 畳文化の継承・業界発展には「業界外に加え畳店など業界内に向けた取り組みも重要」との観点から、「海外販路開拓に向けた海外展示会への出展」「畳の品評会の開催」「住宅市場の2040年問題(人口減少に伴う住宅需要減と人手不足による住宅供給減)対策のカーボンニュートラルに絡めた畳の活用推進」など、さまざまな意見が出た。

 今後、幹事会を中心に、総務委員会や企画・制作委員会で継続的に議論するとともに、経済産業省や農林水産省、超党派のたたみ振興議員連盟などにも働き掛けていく。

〈nishikawa/キッザニア東京に睡眠研究所/子供が枕の測定など〉

 nishikawaは8月23~29日に、子供の職業・社会体験施設「キッザニア東京」で睡眠研究者の仕事が体験できる「ぐっすりウィーク」を開催した。キッザニアで睡眠に特化したパビリオンは初めて。同施設を運営するKCJグループと共同で「睡眠研究所」パビリオンを開設し、子供たちに良い睡眠を取ることの大切さを伝えた。

 子供たちは、睡眠の基礎知識や良い睡眠を取るために大切なことを学んだ後、マットレスに横になったときの体圧や自分に合った枕を測定。最後にレポートにまとめる。

 「これまで寝ることについて考えたことがなかった」という子供たちは、初めての体験に顔を輝かせた。認定証を受け取り、「規則正しい生活が睡眠につながると分かった」「人によって枕の高さが違うと知った」「枕の素材がいろいろあるのが面白い」「お父さん、お母さんに教えたい」などと感想を話した。

 nishikawaの菅野達志社長は「十分な睡眠時間を取れていない子供が増えている。質の高い睡眠を取るサポートをしたいと考え、パビリオン開設に至った。今回は期間限定だが、今後、継続的に実施したい」と語った。KCJグループは「夏休みは子供の睡眠が乱れがちになる。新学期を前にこのような体験ができたのは子供と保護者の双方にとって良いこと」と話した。