繊維ニュース

ワインダーメーカー/日本での更新需要を狙う/自動化や生産性訴求

2024年09月17日 (火曜日)

 ワインダーメーカー各社は、日本での更新需要を狙う。既存ユーザーの動きは二分化しているが、更新を検討する企業からは自働化や生産性向上などへの要望が高まっている。近年は外注先の廃業を受けての内製化や、試作・開発を強化するため新規導入の動きも見られる。(星野公清)

 日本で稼働する繊維機械には40~50年になる機械も多く、潜在的な更新需要があるとみられている。ワインダーもその一つだが、先の不透明感や働き手不足、後継者不在などもあり、更新を検討する企業と消極的な企業に分かれているのが実情。稼働する古い機械のほぼ全てが更新されるのではなく、将来を見据える企業が段階的に更新を進めていくとみられる。

 糸の巻き直しは小規模な工場も多く、近年は廃業が進んで外注先の確保に苦慮する声も増えている。産地内のスペースがタイトになり、巻き直しだけ他産地へ発注するケースもあり、生産性向上や内製化のために更新を検討する動きも出ている。

 1980年代の機械に比べると今の機械は巻き取り速度が約2倍になっているので、新台への更新で生産量を維持しながらも全体の錘数を減らし、省人化や省スペースにつなげる動きもある。日本市場での主要メーカーは、村田機械、TMT神津、SSM(スイス)などだが、各社とも日本で年間100~200錘の販売を狙っている。

 村田機械は、自動ワインダーの最新機種「AIcone」(アイコン)を日本の産地にも提案していく。製織工場やニッター、染色工場などに向け、今治や尾州など全国の短繊維産地で提案を進めており、導入した企業からは生産性や自動化などの面から好評を得る。

 アイコンは昨年に発表した最新機種で、ソフトの改良でアラームが出にくい機種にしたのが特徴。特に自動化・省人化につながる機種としてオートドッファーが注目されている。生産性の高さも販売につながっており、古い機械から更新した企業では生産性を約2倍に高めた事例もある。

 TMT神津は化合繊長繊維用のリワインダー「ワインディングマスター」で、今期(2025年3月期)は200錘の販売を目標とする。日本での拡販に加え、海外への販売も本格化して達成を目指す。

 ワインディングマスターは幅広い糸種への対応や生産性、オートドッファー機能のほか、1錘単位から必要量やスペースに合わせて導入できる点も好評。近年は染工場、製織企業、糸加工場などで導入が増えている。外注工場の廃業を受けての内製化のほか、製織工場では高価な糸の小割など開発強化のために導入する動きもある。

 SSMは、昨年に代理店が変わり、ワインダーワークス(大阪市中央区)が日本での販売を担っている。今年は100錘の販売を目標としており、昨年に導入した企業の増台や、製織工場での新規導入も出ている。新規に導入した企業は、試験開発のスピードアップのために外注していた巻き直しを内製化したもの。

 このほか、夜間の自動化など省人化のために新しい機械への更新を検討する動きもある。ただ、今年は市場環境の悪化やスイスフランに対する急激な円安などの逆風もあり、更新を検討するユーザーがいったん様子見になるケースも多いと言う。