繊維ニュース

国際フロンティア産業メッセ/サステでニーズ捉える/残糸で新たな製品開発

2024年09月12日 (木曜日)

 西日本最大級の産業総合展示会「国際フロンティア産業メッセ2024」が5、6日に、神戸・ポートピアアイランドにある神戸国際展示場で開かれた。繊維関連企業・団体が多数出展。残糸の活用など、サステイナビリティーをキーワードに、さまざまな繊維製品を発信した。

 靴下製造の田中繊維(兵庫県加古川市)は、元々メンズ向け靴下のOEMを主力としていたが、創業100年を迎えた2021年から自社ブランド「TANAKA SOKKEN(タナカソッケン)」を立ち上げた。「靴下にない柄を表現したい」として、アウターのデザイナーとコラボレーションするなど、個性的な商品群をそろえる。

 先染め織物の東播染工(同西脇市)と連携し開発した靴下ブランド「SAYUU(サユウ)」も展示。サユウは東播染工の余った糸を活用したもので、オーガニック綿やシルク、麻といった厳選された原料を使う。自社ブランドをきっかけに販路が広がり「毎週、何十種類の新しい糸をどう料理して靴下を作るのかを考えている。ファンを広げていきたい」と話す。

 今年5月に新工場が稼働したユイ(同南あわじ市)は初めての出展。和紙やバナナの繊維など、環境配慮素材を使った靴下を打ち出した。無地ソックスに刺しゅうやプリントを入れるといった50足からの小ロット対応もアピール。幅広いゲージの設備をそろえ「顧客の細やかな要望に応えることができる」。

 ハンカチ大手のブルーミング中西(東京都中央区)は、クラボウの裁断片などを開繊・反毛技術で再資源化する「ループラス」を活用し、今治タオル工場の廃棄糸を再利用した「今治タオルハンカチ」を紹介。残糸をうまく使い、独特な色合いを表現した。

 北播磨地場産業開発機構は、先染織物播州織の製織段階で発生する残糸を使った生地や製品を展示。今回、クイズを実施し、粗品でバッグを配布した。「初日でなくなり、追加で用意した」ほどの人気だった。

 播州織工業協同組合は、通気性透湿防水加工「エココンフォート」を施した生地を並べた。環境に優しい水系樹脂をコーティングするもので、綿織物独特の風合いを損なわない。

〈ペルチェは潜在需要に期待〉

 国際フロンティア産業メッセには地元、神戸のユニフォーム販売店も参加していた。ワークウエアショップ「キーポイント」を展開するアグロワークス(神戸市)は、ペルチェ素子式冷却ウエアを展示。電動ファン(EF)付きウエアは知られているものの、ペルチェタイプは「来場者の半分が知らず、潜在需要がまだまだある」と話す。

 トモヤ(同)は、溶接作業に最適な綿100%の4タイプのジャケット、2タイプのパンツに加え、100色以上から選べる別注の新たなサービスを展開。「組み合わせは10万通り以上」で、カラーにこだわりのあるユーザーを掘り起こす。