東レ 湿式不織布にも注力

2024年09月11日 (水曜日)

 東レの不織布・人工皮革事業部門は2024年度下半期(24年10月~25年3月)に向けて、不織布は湿式不織布の販売に力を入れ、人工皮革は用途拡大に取り組む。一方、24年度上半期(4~9月)は、一部商材の低迷があるものの、不織布を中心に堅調に推移している。

 不織布・人工皮革事業部門の平井正夫部門長によると、24年上半期は「不織布事業は売上高、利益ともに計画を上回って推移している」。ポリエステルスパンボンド不織布「アクスター」はフィルター用途で堅調な荷動きが続いている。ポリフェニレンサルファイド(PPS)不織布は低迷していた中国でのバグフィルター用途が回復した。ポリプロピレンスパンボンド不織布は世界的には市況低迷が続いているが、「日本向けは、そこまで悪くない」と指摘する。

 一方、人工皮革「ウルトラスエード」は昨年度まで好調だった自動車内装材用途で「需要に変調の兆しがあり、数字も少し落ちている」。ガソリン自動車と電気自動車(EV)ともに高級車種を中心に採用拡大が続いたが、ここに来てEVは販売拡大の中心が中低価格帯の車種に移りつつあることが影響している。ただ、航空機内装材など自動車以外の用途は堅調だ。

 下半期以降に関して平井部門長は「不織布は現在の流れが継続しそう」とみる。ただ、中国のバグフィルター向けPPS不織布に関しては若干の先行き不透明感がある。このため紙・フィルム代替が可能なポリエステルSB「アクスターPF」など新規商品の拡販に力を入れる。また、下半期からPPS繊維やフッ素繊維のショートカットファイバーによる湿式不織布の販売が本格化する。膜関連用途を中心に提案と販売に力を入れる。

 一方、人工皮革に関しては自動車内装材用途の回復を見込むものの、特定用途への依存はリスクが高まっている。このためコンシューマーエレクトロニクスやインテリア、「エクセーヌ」ブランドで販売する工業資材など幅広い用途での拡販に力を入れる。