ITMAサービス/中央アジアに繊維機械の商機/川上・川中産業が成長

2024年09月10日 (火曜日)

 ITMAサービスのレポートによると、ウズベキスタンやトルクメニスタンなど中央アジアで繊維機械の商機が拡大している。綿花栽培で長い歴史を持つ地域だが、ウズベキスタンのように綿花輸出から繊維製品輸出に転じる国も見られる。

 繊維機械への投資状況は国によって差があり、カザフスタンのように栽培される綿花の95%を中国に輸出する国もある。一方、年間約100万㌧の綿花を生産するウズベキスタンは、この10~15年で川上や川中が成長し、綿花の輸出国から輸入国に転じた。

 ドイツ国際協力庁によると、ウズベキスタンへの直接投資額は2016年から21年の間に3倍に増え、250億ドルに達した。この間に5万9千件超のプロジェクトが実施され、産業の成長率は年8%に達した。新型コロナウイルス禍の下にあっても20年は7%、21年は7・4%の成長で、テキスタイル・アパレル産業はこの変革の中心に据えられた。綿花生産の民営化、クラスターモデルの導入、強制労働の廃止、経済開放などが大規模な投資を呼び込んでいるという。

 テキスタイル・アパレルの企業は7千社以上となり、21年の輸出額は30億ドルに達した。21年には生産する綿花の全てを糸にできる形となり、原料での輸出をなくして加工度の高い製品へ転換した。紡績は150社で、370万錘・23万9千ローターを保有する。約86万㌧の糸を生産し、その3分の2を輸出する。今は純綿糸が主体だが、将来は合成繊維への投資が予想されている。

 織物工場は218社、ニッターは250社で、17年の4倍に増えた。生地輸出は近隣諸国向けが多く、今は高付加価値化を志向する企業は少ない。しかし、有力紡績のTEXYGENが昨年にスパンレース不織布のラインを導入し、使い捨てワイパー用の綿100%基材を生産するなどの動きも出ている。国際繊維製造業者連盟のクリスチャン・シンドラー事務局長は「ウズベキスタンは世界有数の綿花生産国だが、現在はテキスタイル・アパレル産業を確立し、急速な発展の初期段階にある」と述べている。

 トルクメニスタンも自国の綿花を加工するテキスタイル産業の発展を目指す。同国企業からのイタリアの繊維機械への需要は22年の60万ユーロから昨年は1300万ユーロに急増した。イタリアの繊維機械協会はこのほど、同国での大きな商機を見て貿易代表団を立ち上げた。

 水力発電による環境に優しいエネルギーシステムの恩恵を受ける形でキルギスタンの繊維産業も急速に発展しているという。

 ITMAでは、来年10月にシンガポールで開催される繊維機械展「ITMAアジア+CITME」でも、中央アジアからの来場者が増えることを見込んでいる。