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チャイナ コンポジット エキスポ/日中メーカーが炭素繊維訴求/東レ「トレカT1200」目玉に

2024年09月06日 (金曜日)

 【上海支局】アジア最大級の複合材料見本市「第27回中国国際複合材料工業技術展覧会」(チャイナ コンポジット エキスポ)が2~4日、中国・上海の国家会展中心で開かれた。国内外メーカー約800社が出展し、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維と、それらを使った複合材料をアピールした。その中で日本の合繊メーカー3社は、炭素繊維を中心に訴求。東レの超高強度炭素繊維「トレカT1200」などが注目を集めた。

 東レが目玉として打ち出したトレカT1200は、世界最高強度を更新する新製品で、今回が中国初公開となる。強度は8・0ギガパスカルと既存の最高強度グレードの「T1100」を10%以上上回る。3年以内の量産化を計画する。

 中国では、パソコンや圧力容器などの産業用途と、自転車フレームやバトミントンラケット、釣りざおなどのスポーツ用途を展開する。近年は、地場自転車メーカー最大手の深セン市喜德盛自行車(XDS)の高級車向けなどの販売を伸ばす。

 中国市場では、中復神鷹(ゾンフーセンイン)をはじめとする国営メーカーが炭素繊維の増産を続け、品質向上にも取り組んでおり、競争が激しくなっている。そのため、汎用品と高級品の双方でシェアを維持、拡大するために、同社は戦略立案を進めている。

 帝人は、バイオマスやリサイクル原材料の持続可能性認証プログラム「ISCC PLUS」(アイエスシーシー プラス)を取得した日本とドイツの工場で生産する炭素繊維「テナックス」と、それを使った中間素材(熱可塑性プリプレグ)をメインに訴求した。欧米市場向け製品を手掛ける顧客からの関心を集めた。

 三菱ケミカルは、石油由来と、石炭由来の双方の炭素繊維を展開し、幅広いニーズに対応していることをアピールした。植物由来の原料を使用した環境配慮型ポリオール「バイオPTMG」など、サステイナブル素材の出展にも力を入れた。