繊維ニュース

メルテックス/製販で連携強化/認証や差異化素材生かす

2024年09月06日 (金曜日)

 シキボウのインドネシア紡織加工会社、メルテックス(東ジャワ州モジョケルト)は、日本、中国、台湾、ベトナム、タイにあるシキボウグループ会社との連携を強める。国際認証を取得したリサイクル繊維やオーガニックコットン、フェアトレード綿糸といった同社独自の差異化した商材をシキボウグループ全体の販売網を生かして供給する。

 シキボウグループは国内外に製造、販売子会社があり、それぞれ強みとする販路や拠点ごとに扱う糸や生地に特徴がある。例えば、中国には染工場、繊維素材の現地での販売網があり、台湾は機能を強みとする合成繊維素材の調達力に優れる。ベトナムは綿を強みとする一方、インドネシアは綿・ポリエステル混の糸・生地の扱いを得意とする。

 メルテックスはこうした親会社のシキボウが主導する、グローバルなグループ企業連携を強化する戦略の中で、製造、販売の両面で強みを生かして事業拡大を目指す。

 同社はポリエステル・綿混糸の紡績、織布、加工を手掛け、日本向けの企業ユニフォーム素材と中東民族衣装用の生地輸出が売り上げの大きな柱となっている。まだ売り上げ規模は小さいがインドネシア国内でスクールシャツ素材や繊維資材も取り扱う。

 汎用的な糸の生産も行うが、大半は2層構造糸「ツーエース」に代表される高付加価値糸だ。近年、リサイクル素材の認証やオーガニックコットン認証といった、環境に配慮した繊維素材を作る工場であることを示す国際認証も複数取得し、日系以外の企業とのビジネスにも備えている。

 同社の生産能力は紡績がリング紡績を中心に5万錘、生産量の多いのは35~40番手。織機はエアジェット織機をメインに90台。今春に150センチ幅の織機5台を新たに導入した。直近の生産数量は糸が月産千~1500コリ。織布生産は同60万メートル、加工が同65万メートル。制菌加工なども可能だが、生産した生地の晒し、漂白を主体に稼働している。

〈今期は微増益予想〉

 メルテックスの2024年12月期決算は、前期比減収微増益となりそうだ。上半期(24年1~6月)は中東民族衣装向けの生地輸出が好調な半面、日本向けのユニフォーム素材販売が低調だった。

 中東民族衣装市場は在庫調整期を経て、近年、再び旺盛な需要が出ている。元々シキボウの民族衣装用生地は中東で最高級ブランドであるため同社もそのブランド力を生かして汎用的な生地よりもやや高級なゾーンに向けて提案し売り上げを伸ばしている。

 日本で流通する作業服などユニフォーム分野への素材供給は、ユニフォームアパレルの値上げによる消費の減退や為替環境の急変で本来、メルテックスで受けていた発注が、国内のシキボウグループに入るケースも出ていることもあり、上半期は伸び悩んだ。

 同社は中東の好調、ユニフォーム低調は下半期も続くとみている。ここにシキボウ主導のグローバルな繊維素材の製造・販売の効果がどこまで業績に寄与するかが、今後の事業拡大の焦点となる。