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日清紡テキスタイル 機能と環境両軸に攻勢

2024年09月06日 (金曜日)

 日清紡テキスタイルは下半期(7~12月)に向け、主力のシャツやユニフォーム事業で機能と環境配慮を両軸に攻勢をかける。新たな商品開発に合わせ、インドネシアでの生産対応を強化。日本だけでなく海外市場の開拓も加速させる。

 上半期(1~6月)の売上高はほぼ横ばいだったが、営業損益の赤字幅は縮小した。特にブラジルでの紡績事業が好転。同国内では「品質的にナンバー1という評価を受けている」(村田馨社長)こともありフル稼働が続く。シャツは「前年が良すぎた反動」で微減収。ユニフォームは値上げによってワークウエア向けの販売が苦戦した一方で、利益が改善した。

 「全体的に回復が遅い」との見方を示すものの、下半期は強みとする機能と環境の両軸によって市場を深耕。通期(2024年12月期)では2期ぶりの黒字化を目指す。

 シャツでは、売れ筋のノーアイロンシャツ「アポロコット」による「機能の追求」でニーズを捉える。生地にソフト感を出しながらも形態安定を保てるノンホルマリンタイプを投入し「大きく(販売)数量を増やす」。

 ユニフォームでは24秋冬向け新商品で採用が増えた、ピリング・高耐久の特殊ポリエステル綿混糸使いのストレッチ織物「エアリーウェーブ」や、綿100%のストレッチ織物「アスタリスク バイ ナチュレッシュ」の拡販に取り組む。

 シャツやユニフォームでの独自性の高い商品開発に合わせ、インドネシアでの生産対応を強化している。昨年、紡織拠点のニカワテキスタイルに増設した渦流紡績機「ボルテックス」2台は順調に稼働しており、独自の糸作りに活用。これがバルク生産につながってくれば、さらなる増設も視野に入れる。

 織布・染色加工拠点の日清紡インドネシアでは昨年、吉野川事業所(徳島県吉野川市)から液流加工機を移設し順調に稼働しつつある。来月には新台の導入も予定する。

 インドネシアから海外市場への開拓も加速。ローカルを含めた海外向けの売上高は3割を超えた。中でも中東民族衣装向け生地輸出は堅調で、前年に比べ1・5倍に増えている。

 環境配慮の意識が高まる欧州への輸出拡大を狙う。シャツやユニフォームで、商品やサービスのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算するカーボンフットプリント(CFP)を昨年から開始。直接算出した高精度のCFPの1次データが活用できるといった、インドネシアでの「一貫生産の強み」を生かした戦略も活発化させる。