「インテキ上海24秋冬」レビュー (前)

2024年09月04日 (水曜日)

日本館商談数は春夏展届かず

 世界最大級の服地見本市「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2024秋冬」(インテキ上海)が8月27~29日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開かれた。30年目の節目を迎えた今回展は、デジタルとサステイナブル関連の出展を充実させた。日系企業が集まる「ジャパン・パビリオン」の出展者数は、新型コロナウイルス禍前の規模に戻ったものの、商談件数は今年の春夏展をやや下回ったところが多かった。

(上海支局)

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 出展者は4千社弱で、昨年の秋冬展並みとなった。コロナ禍前の19年秋冬展の実績(約4400社)には届かなかった。海外出展者は、26カ国・地域の約800社となった。

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催するジャパン・パビリオンには、丸井織物、清原、東光商事、カジテックなどの新規出展7社を含む34社が出展。秋冬展としては、コロナ禍前の規模に回復した。東レグループやスタイレム瀧定大阪、三菱ケミカルなどは、国際館などに単独出展した。

 同展の前身「中国国際紡織面料・家用紡織品・輔料博覧会」が北京で初めて開かれたのは1995年。展示面積4千平方㍍で、12カ国・地域の131社が出展した。その後、中国市場の成長とともに規模を拡大し、世界最大級の服地見本市となった。

 同展は、中国内販に取り組む企業にとって、新規顧客の開拓に不可欠な場だ。2003年から設けられたジャパン・パビリオンは、イタリア企業が集まる「ミラノ・ウニカ」パビリオンと双璧をなす人気エリアだ。日系企業にとっては、内販の登竜門となっている。

 今回展は、繊維産業で人工知能(AI)やデジタル技術で企業を変革するDXの活用が浸透する中、最新テクノロジーを集めた「デジタル・ソリューション・ゾーン」を初めて設けた。製造工程のDX化や、製品の持続可能性に関する情報を電子的に記録するデジタル製品パスポートなどの活用を提案した。

 サステ関連の出展も充実させた。これまでサステ製品を取り扱う出展者を集めたエリア「オール・アバウト・サステイナビリティ」を設けてきたが、これを「エコロジー・チェック」のエリア名に変更し、第三者機関の審査を通過した企業だけが出展する形に変えた。

 ジャパン・パビリオンは、今回も好評だった。ただし、コロナ禍の反動で昨春夏展から続いていた異常とも言える盛り上がりは見られなかった。商談件数は昨年展や、今年の春夏展の実績を下回ったところが多かった。コロナ禍の反動が落ち着いたことや、市況の低迷が影響した可能性がある。