帝人フロンティア・衣料素材本部 輸出拡大で成長へ

2024年09月03日 (火曜日)

 帝人フロンティアの衣料素材本部は、輸出の拡大に継続して力を入れる。2024年度は、北米向けで新規顧客が増えたほか、欧州向けも復調し、本部全体の上半期(4~9月)業績をけん引する見通し。輸出は順調に推移するものの、「ニット素材に偏重しているのが課題」とし、今後は織物の拡販も強化する。

 同本部の24年4~6月の生地輸出は、過去最高だった22年度には届かないが、前年同期比増収増益で推移した。北米や欧州のスポーツ・アウトドア分野向けを中心に、タコ足型断面ポリエステル繊維「オクタ」シリーズ、コットン調ポリエステル「アスティ」、スパン調の「ポリリズム」などが好評を博す。

 ニット素材が伸長を見せる一方で、「織物は核となる素材がない」とし、「北陸産地との連携による開発を含めた、織物輸出が課題」とする。その一環として、ポリエステルとナイロンの質感や機能を融合した新開発製品「ミクセルNP」を、編み物だけなく、織物でも海外市場向けで積極訴求を図っていく。

 生地だけでなく、原料でも輸出拡大に取り組む。原料販売の4~6月は、インテリア関連が堅調に推移した一方で、衣料分野や自動車関連用途は勢いがない。このため海外販売の拡大に活路を求める。インドやASEAN地域向けの糸輸出をターゲットとする。

 日本国内の販売では、一部を除いてユニフォーム分野が苦戦している。輸出とは逆に織物で強みが発揮できており、ニット素材の底上げが課題。学販を含めて再構築する。そのほか、ユニフォーム分野では取捨選択を含め、「メリハリを効かせた取り組みを進める」方針だ。

 同本部全体の4~6月は生地輸出と一部ユニフォーム分野、原料の一部がけん引し、売り上げと利益ともに前年同期の実績を上回った。4~9月も増収増益を見込んでいるほか、年間でも増収増益を計画している。