特集 アパレルパーツ(6)/多分野で活躍する副資材/各社各様の商品戦略/オークラ商事/増見哲/トップマン工業

2024年08月30日 (金曜日)

〈オークラ商事/BtoB注文サイト成長/アウトレットの機能発信〉

 オークラ商事(東京都千代田区)は、副資材の専門商社としていち早く商取引のデジタル化に取り組んできた。その象徴である法人向け副資材注文サイト「Apparel(アパレル)X」は、会員登録法人数が2万社を突破し、このうち海外の登録法人数が4千社を超えた。運用開始から6年半が経過し、国や地域の枠組みを超えたBtoBサイトに成長している。

 アパレルXは同社が開発した電子商取引(EC)サイトで、納期、在庫・単価、受注状況などの確認作業がウェブ上で完結する。スマートフォンやタブレット端末を使って、資材の購入、注文の履歴の検索、最新のトレンドの把握などもできる。グローバル展開に合わせ、多言語化と多通貨対応を進め、国際配送にも対応する仕様に整備した。

 機能の拡充で利便性向上を図る同サイトで、今後、提案を強めるコンテンツが「アウトレットページ」。生地メーカーなどから出る見切り品や廃番予定商品、わけあり商品を集め、格安で販売する。生地を中心に、裏地、芯地、ボタン、ファスナー、テープ・リボンなど幅広く取り扱う。

 サステイナビリティー対応のニーズに合致したサービスとして、アップサイクルを目的とする顧客に提案を進めていく。廃棄されてきた商品が流通する仕組みを、副資材業界に定着させる取り組みとしてアピールする。

〈増見哲/多様な商材で広範囲カバー/最終製品の依頼にも対応〉

 増見哲(大阪市中央区)は副資材の総合商社として多様なアイテムを取り扱う。得意分野もメンズ、レディース、スポーツ、ユニフォーム、雑貨、その他と幅広い。中国とバングラデシュに拠点を置き、海外受け渡しにも力を入れている。

 ファスナーは、長年にわたりYKKの正規代理店として販売実績を積んできた。蓄積してきた商品知識やノウハウを背景に、さまざまな用途に対して的確なアドバイスや提案を提供できることが強みだ。

 放電テープ「放電君」も主力商品の一つ。衣料品の静電気による不快感を防ぐ放電テープで、人体に悪影響をおよぼす帯電圧の軽減対策として開発された。帯電防止ではなく、放電により帯電圧を下げることで、静電気の不快感を防ぐ。衣類や帯電するさまざまなアイテムに装着して使う。摩擦による静電気の帯電圧を下げ、放電による感電(ピリ感)を抑制。スラックス・スカートの静電気によるまとわりつきを軽減し、花粉やほこりの付着も抑制する。

 近年は副資材以外に、ベルトやショルダーバッグ、スマートフォンケース、スマートフォンショルダーなどの雑貨類の開発、販売にも力を入れている。基本的には受注生産だが、かっぽう着に着想を得た自社製品ブランド「カポック」などのBtoC商品も充実する。

〈トップマン工業/生地タイプのテープ拡販/独自のBtoC製品も用意〉

 トップマン工業(大阪府東大阪市)は、自社で生産するバイアステープを主力商品とする。その最新版と言える「ネオラバーテープ」(NRT)や「ネオラバーストラップ」(NRSTP)が売れ筋商品になっている。生地タイプの「ネオラバーファブリック」(NRF)もラインアップした。

 NRTは、クラレプラスチックスの熱可塑性エラストマー「アーネストン」を、ナイロン・ポリウレタンのトリコットで挟んだテープ(ストラップ)で、高い伸長力や耐久性があり、劣化が少ない高耐久力、肌触りの良さが特徴。その生地タイプがNRFだ。価格面がネックとなりまだ採用数は少ないが、売るための仕組み作りを商社などと進めていく。

 同社で新規事業開発役を担うのがNB(ナショナルブランド)事業部。「渾身の開発製品」と力を込めるのが、はきやすさを追求した着圧サポーターだ。

 独自にアンケート調査を行ったところ、流通する着圧サポーターの多くが「はきにくい」との評価だった。

 独自のデザインと「くびれ編み工法」によりこの問題を改善した。最初のはき口が広くなっており、スルッとはきやすい。アンケートでは85%が「いいね」とした。カタログ通販などで既に販売しているが、今後は介護市場や旅行市場にも販売していく。