シキボウベトナム 年内に糸備蓄スタート

2024年09月02日 (月曜日)

 シキボウのベトナム法人、シキボウベトナムは年内をめどに現地で綿糸の備蓄販売を始める。地産地消と差別化品ニーズの高まりに対応したもので、対日縫製品向け、現地アパレル向け、欧米など第3国向けそれぞれの販路開拓に活用する。

 シキボウベトナムは今年1月に、それまでの駐在員事務所から法人化を済ませたもの。ミッションは現地で生産・手配した糸、生地、縫製品の販売拡大。これまで通り、ベトナムの協力工場で生産した糸・生地の日本への輸出も続ける。

 法人化の後、対日縫製品を生産する現地工場への営業を強め、もくろみ通り現地での受け渡しが始まった。藤井靖之社長によれば生地は丸編み地で、パジャマ向けと言う。

 2月下旬には、ホーチミンで初開催された繊維品の総合展「ベトナム国際アパレルファブリックス&繊維関連技術専門見本市」(VIATT展)に出展し、インドネシアやタイ、日本のシキボウグループと連携して差別化糸を中心に訴求した。手応えはかなり大きく、改めてベトナム国内で差別化糸とその糸で作った生地のニーズが高まっていることを感じたという。縫製地であるベトナムでも近年は台湾や韓国資本による糸・生地の生産が急速に増えているが、その多くが定番的なものであることも背景にあるようだ。

 このニーズの高まりを受けて現地で綿糸の備蓄販売を始めることを決めた。ホーチミン市内に倉庫を借り、精紡交撚糸や強撚糸、細番手糸など「シキボウ品質」の綿糸10品番ほどから始める構想。よりリスクの高い生地の現地備蓄は様子を見て判断する。

 まずは対日縫製品向け現地工場への販売から拡大させていく計画で、その先に現地アパレル向け、欧米市場向けの開拓も見据える。