繊維ニュース

オフィスウエア 増えるポリエステル100%

2024年09月02日 (月曜日)

 オフィスウエアの商品企画でポリエステル100%素材の採用が増えている。以前はウール・ポリエステル混や、ポリエステル・レーヨン混が多かったが、「ポリエステル100%でも十分良い質感を出せる」として、新商品への混紡素材の採用が減少する。

環境配慮設計に対応するため、モノマテリアル(単一原料)による商品開発が意識される中、ポリエステル100%素材による企画が今後さらに増える可能性がある。

 素材にポリエステル100%が増えている背景として、原燃料高をはじめとしたさまざまなコストアップで「なるべく原価を抑えたい」という狙いがある。ただ、それ以上にポリエステル100%の生地が「ウール混の梳毛調の生地とほとんど遜色がない」ぐらいに質感が向上。さらに洗濯しやすく「メンテナンス性の良さ」も理由に上がる。

 東レの「マニフィーレ」や、帝人フロンティアの「トリクシオン」など、合繊メーカーが開発した梳毛調ポリエステル素材の進化が大きい。さらにさまざまな織り組織、編み組織によって生地の選択肢の幅も広がった。

 24秋冬向けでもポリエステル100%素材を使った新商品の企画が目立つ。チクマ(大阪市中央区)のアルファピア事業部は、接客サービス向けに売れ筋の「マリークヮント」でトリクシオンを使い、伝統色を取り入れたクラシカルなデザインのジャケット、ワンピースを投入。「ユキトリヰ」では環境に配慮した無水プリント「エアダイ」による日本製ポリエステル100%のストライプ生地を採用。「ウールとほとんど変わらない」見た目で上質感を出した。

 セロリー(岡山市)は、クラシカルな印象のポリエステル100%のハイテックウィンドペン生地を使ったシリーズを投入。ウールタッチの素材感を出す独自のポリエステル糸「エアフォート」を使い、薄手なのに保温効果もある。

 ヤギコーポレーション(金沢市)は、生地商社のサンウェル(大阪市中央区)のウールライクポリエステル素材「ラナテック」を使ったベスト「シェファードチドリ」を開発。デザインや快適性のみならず「手を伸ばしやすい価格設定」でニーズを捉える。

 ボンマックス(東京都中央区)は、ポリエステル100%でありながらウールライクな高級感のある素材を使って展開するテンダーチェック柄のベストで、ベージュやラベンダーなどのカラーを追加。家庭洗濯もできる。

 SDGs(持続可能な開発目標)に沿ったユニフォームの供給が求められる中、伊藤忠商事のケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」や、東レのバイオ原料ポリエステル「エコディア」を組み合わせた素材の採用も増加。環境配慮の面からも訴求力を高める。