繊維ニュース

シキボウと新内外綿 保温機能糸を共同開発

2024年08月29日 (木曜日)

 シキボウと子会社の杢(もく)糸紡績、新内外綿(大阪市中央区)はこのほど、秋冬シーズン向けの新たな紡績糸を共同開発した。

 台湾繊維メーカーが製造販売する保温機能ポリエステル繊維「シーウール」を使った糸で、綿混の2層構造糸をシキボウが、「テンセル」リヨセル(レーヨン)混の糸を新内外綿が開発した。

 展開予定の糸の太さは綿混が30、40番単糸、リヨセル混は20、30、40番単糸。汎用的な綿・ポリエステル混糸やレーヨン・ポリエステル混糸と同様、染色に制限はなく自由に色付けができる。それぞれの国内工場で開発したが、販売は双方の営業担当が連携して行う。スポーツ、ユニフォーム、レディース衣料、肌着、靴下、マフラー、手袋など保温機能を必要とするアイテムで需要を探る。

 今回、新たな糸を共同開発した背景には、両社ともに秋冬の需要開拓の鍵となる新素材の開発を共通課題としていたことがある。繁忙期も両社ともに春夏の機能素材が充実していることもあり、秋冬よりも春夏に偏る傾向があるという。今回の糸はこうした両社の課題解決を狙った素材となる。

 シーウールは、紡糸前のリサイクルポリエステルに、通常は廃棄されてきたカキ殻の粉末を練り込んだ“環境”という点でも付加価値を持った保温素材だ。カキ殻の粉末がポリエステルの熱伝導率を低くするため、生地にすると肌側の熱を外に逃しにくくする。シーウールは30~40%の混用率で十分な保温機能を発揮すると言う。綿混はリング紡績機で、リヨセル混は抗ピリング性を持たせるために基本的にMVS機で紡績する。

 シキボウと新内外綿は糸、生地、縫製品で既に提案をスタートしている。11月13、14日に金沢市で開催される「北陸ヤーンフェア2024」でもアピールする。