インテキ上海開幕/日本館コロナ禍前規模に/市況の不透明感増す中で

2024年08月28日 (水曜日)

 世界最大級の服地見本市「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2024秋冬」(インテキ上海)が27日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開幕した。日系出展者が集まる「ジャパン・パビリオン」の出展者数は、新型コロナウイルス禍前の規模に戻った。景気減速を受けた節約志向の高まりで、市況の不透明感は増しているが、日系各社は巨大市場に商機を見いだす。会期は29日まで。(岩下祐一)

 今回の出展者数は4千社弱で、昨秋冬展並みとなった。コロナ禍前の19年秋冬展の実績(約4400社)には届かなかった。海外出展者数は、26カ国・地域の約800社となった。

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催するジャパン・パビリオンには、丸井織物、清原、シャンブレー、スタイルテックス、東光商事、カジテックの新規7社を含む34社が出展した。秋冬展としては、コロナ禍前の規模に回復した。

 東レグループやスタイレム瀧定大阪、三菱ケミカルなどは、海外企業が出展する国際館や、国内企業がブースを構える国内館に単独出展している。

 中国アパレル市場は、振るわない。昨年後半から景気減速の影響を受け、消費者の財布のひもが固くなり、多くのブランドの販売が落ち込んでいる。

 今年に入っても改善の兆しは見られない。7月のアパレル小売売上高は、前年同期比5・2%減った。コロナ禍の感染爆発が起こった22年12月以来の大きな落ち込みとなった。

 これまで健闘していたネット通販ブランドも、今年は苦戦するところが増えているようだ。これが響き、「地場の大手生地商社の販売も芳しくない」(日系生地メーカー関係者)。

 こうした中でも、ジャパン・パビリオンの出展者数が回復した背景は、巨大な市場や、ジャパン・パビリオンの圧倒的な集客力への各社の期待がある。

 象徴的なのが、副資材企業の出展の盛り上がりだ。ボタンや服飾パーツを展開するアイリスが昨年から、同パビリオンに大型ブースを設け、新規開拓で成果を上げている。これに刺激を受けるように、アイリスを含む9社の副資材企業が、今回出展した。

 プラスチックホックメーカーのカジテックは、ベビーウエア向けと、スポーツウエア向けの日本製ホックをアピールする。これまで国内館に出展してきたが、今回は日本製の強みを訴求しやすいジャパン・パビリオンに切り替えた。内販では地場大手のキッズウエアと、スポーツウエアのブランド向けを伸ばしている。

 ボタンやバインダーテープなどの副資材を取り扱う島田商事は、チップ加工のコードや、さまざまな素材を使ったレーベルを紹介している。昨年8月に開かれた同展に4年ぶりに出展し、内販の掘り起こしを始めた。クイック対応やサステイナブル素材を使った商材などの切り口で、新規顧客を開拓しようとしている。

 中国の潜在市場に期待し、新規参入を検討する生地メーカーも出展している。欧米や韓国向けの自販を伸ばす丸井織物は、次の海外市場として中国に注目。防シワ性やストレッチ性などの機能の消耗劣化を抑えた超寿命機能素材「NOTO QUALITY」(ノトクオリティ)を前面に打ち出す。