浅野撚糸 無撚糸の特徴超える糸
2024年08月28日 (水曜日)
撚糸・タオル製造販売の浅野撚糸(岐阜県安八町)は26日、無撚糸を超える風合いで毛羽落ちを最小限に抑えつつ耐久性を持たせた「超無撚糸」を開発したと発表した。同社によると、世界初の開発だと言う。特殊撚糸「スーパーゼロ」の技術を応用し17年かけて開発に成功した。糸と超無撚糸使いタオル「わたのはな」の両方で販売する。
超無撚糸は綿紡績糸とクラレトレーディングの水溶性糸「ミントバール」を交撚し、通常の逆方向に1・3倍から1・5倍に撚り合わせた弱高撚糸だ。スーパーゼロは同じく反対方向に2倍の撚りを掛けた強高撚糸と位置付けられる。
無撚糸のような風合いを残しつつ、毛羽落ちや耐久性の低下を抑えるための最適解を探しながら開発を進めた。毛羽落ち率は0.063%で、日本タオル試験協会が定める無撚糸基準のおよそ13%弱となる。
超無撚糸を生産する環境の整備も課題だった。糸を撚ることで絡まる“ビリ”をなくしてストレートな形状にするため、スチームセッターと蒸気にする水温も重要だと言う。2023年4月、双葉事業所(福島県双葉町)にスチームセッター1台を導入し、量産できる環境を整備。同事業所の地下水が適するため、開発への課題が解決された。
今後、超無撚糸販売で2億円、タオル販売で3億円を見込む。超無撚糸の販売には双葉町の震災復興の思いも込める。海外向けには「スーパゼロ・ツイスト」として販売する。タオルは糸番手や生産地、撚り数が違った8種類をそろえる。サイズは縦120×横30㌢。価格は2420円~4400円。
品名を統一
浅野撚糸は、一般的なバスタオルの横幅を30㌢と半分にした「エニータイム」の商品名を、今後「バスタオル半分時代」に統一する。
タオルシリーズ「エアーかおる」の販売とともに考案されたエニータイムは、同社が手掛けるタオルのほとんどに用意された。このサイズを初めて考案・販売した企業として、新たに商品名を統一してブランディングを進める思いを込める。
一般的バスタオルの半分の面積ということで、洗濯にかかる水道や電力などを抑えられる点にも着目。同社が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)宣言と合わせて、環境配慮の観点からも訴求を強める。