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ニッケ 呉羽テックを傘下に

2024年08月27日 (火曜日)

 ニッケは26日付で、東洋紡エムシーの短繊維不織布製造子会社、呉羽テック(滋賀県栗東市)を買収した。

 ニッケは中長期ビジョン「ニッケグループRN(リニューアル・ニッケ130ビジョン)で産業機材事業の基本方針として「自動車・環境関連製品の拡販と不織布事業の収益強化」を掲げて積極的に投資を行っており、4月には東洋紡エムシーから集塵(しゅうじん)機器やエアフィルターなどの加工・販売を行う東洋紡カンキョーテクノ(現・カンキョーテクノ)を買収している。呉羽テック買収も不織布事業収益強化の一環と言える。

 一方、東洋紡エムシーは2023年の発足後、不織布は収益改善・事業モデル改革の事業と位置付けており「中期経営計画でのポートフォリオ戦略を踏まえた結果、短繊維不織布を中心に長年の実績を持ち、不織布事業の強化を図るニッケへの譲渡が当社と呉羽テックの企業価値向上に資すると判断した」としている。

 呉羽テックは資本金4億円、従業員数266人。1960年呉羽紡績の子会社、リットウセンイとして発足し、66年に呉羽紡績と東洋紡の合併により東洋紡傘下となった。同年社名を呉羽センイに、89年には呉羽テックに社名変更し、現在に至る。一時期(91年~98年)、営業部門のみ東洋紡に移管していたこともある。

 呉羽テックはケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布の各種短繊維不織布のほか、スパンボンド製法による接着シート「ダイナック」や東洋紡エムシーの繊維クッション材「ブレスエアー」と同じ製法の低目付品「クレバルカー」などを製造販売する。

 不織布メーカーの中では海外進出も早く、88年に台湾、2001年にタイ(ともに台湾の不織布製造大手の新麗企業との合弁)、03年に米国(生産は撤退)に拠点を設けている。また、化学品専門商社のオー・ジー(大阪市淀川区)が14年に、インド紡績大手のアーヴィンドとの合弁で設立したバグフィルター用不織布など製造のアーヴィンド・オー・ジー・ノンウーブンズは、呉羽テックが技術指導を行っている。

 呉羽テックの主力は自動車資材だが、業績をけん引していたエアフィルターは機能紙(湿式不織布)シフトや電気自動車の増加の影響を受けており、貼付基布は編み地との競合があり、全般的に商況は厳しくなっていた。