特集 スクールスポーツウエア(5)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/変化するニーズを捉える/オゴー産業/ミズノ/フットマーク/菅公学生服

2024年08月20日 (火曜日)

〈新カタログ作成へ/オゴー産業〉

 学生服製造卸のオゴー産業(岡山県倉敷市)は、スクールスポーツの基幹ブランド「スポーレッシュ」を軸に体育着を訴求している。

 防風やストレッチ、軽量、透け防止など、体育着の近年のニーズに対応する機能を備えたアイテムをそろえる。定番ラインアップには新商品も追加しながら提案している。

 素材の一つ、「ゴーグルストレッチ」は、従来のジャージー素材よりも軽量で高い防風性を実現する。ストレッチ性もあり、ニットと布帛のメリットを併せ持つ。

 体育着は公立中学校を中心に採用が進む。同社では学生服とともに、スクールスポーツ分野においても小学生向けに対応できる点も強みだ。これも提案に生かしていく。

 このほか、道徳心の啓発や寄付を通じて世界の子供たちを支援する「セーブ・ザ・チルドレン」とのコラボレーションモデルも用意する。体育着の機能性に加え、学校教育や生徒の道徳心の醸成など、教育的な方向からの提案も行うことが特徴だ。片山一昌取締役は「モノとコトとの抱き合わせで提案している」と話す。

 今年中にはスクールスポーツのカタログの刷新を計画する。2冊あるカタログを集約し、新カタログを作る予定で、冊子に加えてデジタルデータの作成も視野に入れる。カタログには定番品を中心に掲載。片山取締役は「カタログの定番品を見せながら、別注の提案も進めていく」と説明する。

〈アップ着などでサステ重視/ミズノ〉

 2023年度、ミズノはスクールスポーツウエアの販売で前年比微増を確保したと言う。新型コロナウイルス禍が収束に向かう中、市場の変化として「水着の販売が減少傾向」に転じた。

 最近の為替動向については、材料費、物流費などさまざまなコストに影響を与えるため、「要注意」と今後の動向を注意深く見守っていきたい考えだ。

 最近のトレンドとして、昇華プリントへのニーズが続いているほか、SDGs(持続可能な開発目標)に連動した「環境配慮への取り組みが重要となっている」とみている。

 25春夏から環境に配慮し、ペットボトルをリサイクルして作られたポリエステルによる「フィールドドライ」で企画したウオームアップスを発売する。適度な厚みを持ちながら、吸汗速乾性に優れているところが特徴。

 スクールスポーツビジネスについて「持続可能な事業展開が必要」としており、25春夏では引き続き販売量で微増を計画する。

 スポーツの動きを3次元コンピューターグラフィック解析で検証し運動時の動きやすさを追求した「ダイナモーションフィット」のような独自の技術を多用して、部活動など学校生活のあらゆるシーンで生徒が快適に過ごすことができるよう、今後もスクールスポーツウエアでサポートしていく。

〈男女共用水着を刷新/フットマーク〉

 水泳用品製造販売のフットマーク(東京都墨田区)はジェンダーレスに対応した「男女共用セパレーツ水着」をこのほどリニューアルした。上着の下に着るトップスインナーを追加したほか、細部の改良を施した。同水着は採用校数を徐々に伸ばしており、2024年度は400校以上の学校での採用を見込む。

 水着は上下分かれたセパレーツ型となる。男女で身体的な違いが表れる胸や腰、尻部分などは、ゆったりとしたシルエットになるように素材を変えてパターンを微調整し、体形の違いが目立たないデザインを取り入れる。ロック機能ファスナーや撥水(はっすい)加工など、機能性にもこだわる。

 改良点として、上着めくれ防止の観点から、両サイドのスナップボタンで、上着とパンツを固定できるようにした。上着裏のループにパンツの腰ひもを通して結ぶ“めくれ防止ループ”と併せて上着のめくれを改善した。

 「上着1枚で着るのは不安」との声から、バストをサポートするインナーも開発。体の成長に合わせてパットを入れることもできる。

 同商品は、5、6年前に性の悩みを持つ生徒が水着選びで悩んでいるという販売店からの相談を受けたことが開発のきっかけ。22年度にテスト販売で公立中学校3校が従来の水着と選択できる形で採用。23年度は300校以上が導入し、24年度は400校以上の採用校を見込む。

〈菅公学生服/体操服に必要なことは?〉

 菅公学生服は今年、「高校生が思う体操服に必要なこと」というテーマで調査を行った。対象は全国の高校生の男女1200人。

 体操服は体育の授業以外での着用の幅も広がり、体操服としての運動機能性に加え、デザイン性や着心地、快適性なども求められるようになってきた。

 まず、高校生が体育の授業以外で体操服を着る場面について尋ねた。「部活動」(男子44・5%、女子39・2%)が最も多く、「修学旅行(宿泊施設などでの部屋着も含む)」「学校内での授業(校内着として)」「課外学習・遠足」と続いた。

 体操服を着ていて気になることについても聞いた。「見た目(デザイン・色・シルエット)」「冬の寒さ」「着心地・肌触り」「動きやすさ」「汗(汗ジミ、汗でべたつく、汗の臭い、汗による蒸れ)」などが上げられた。

 体操服で重視されるポイントは「デザイン」(男子42・8%、女子53・7%)が最も多かった。また、「着心地・肌触り」「ストレッチ・伸縮性(動きやすさ)」「色」「吸汗・速乾性」は男女ともに重視するという回答が3割を超えた。女子では「シルエットがゆったり(大きめ)」「透け防止(下着が透けて見えない)」との回答が3割を超えており、重視されていることが分かった。