特集 スクールスポーツウエア(3)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/変化するニーズを捉える/菅公学生服/トンボ
2024年08月20日 (火曜日)
〈カンコープレミアムけん引/来春に向け新ブランド/菅公学生服〉
菅公学生服は「カンコー」ブランドを中心に販売し、2024年7月期のスクールスポーツ事業の売り上げは前期比横ばいを維持した。
自社ブランドの「カンコープレミアム」の販売がけん引する。大手素材メーカーと開発した生地「グランガード」は、防風や耐久性といった機能面が好評。今春は60校の新規校を獲得し、累計採用校数は560校となった。カンコープレミアムは高校向けのシンプルなデザインが特徴となるが、活発的なイメージを与える明るめの色を採用した中学校向けのアイテムも用意し、提案を進めている。
ライセンスブランドでは、「リーボック」が「リーボック本体で若者に人気な著名人を使ったプロモーションが活発になっており、体育着での提案に影響が出てきている」(勝山裕太営業本部企画推進部スポーツ企画推進課長)とする。ファイテンとのダブルネーム「カンコー×ファイテン」は、スポーツ強豪校などで評価されている。
来春に向けては、今春に引き続き安定納品に努める。素材の供給が安定しない中、新規注文の締め切りを早めるなど、早期対応に重点的に取り組む。
商品ではこのほど、新ブランドの「カンコーブルイク」を発表した。同ブランドは、スクールバッグやゴルフバッグ、アクセサリーのOEM生産などを手掛けるEQ japan(千葉県松戸市)のスポーツブランド「ブルイク」とコラボレーションした体育着。ニュアンスカラー使いで色にこだわるほか、吸汗速乾など機能性も充実する。勝山氏は「どのスポーツにも合うマルチスポーツウエアとして展開していく」と話す。
原料価格の高騰が進む中、昨年から動く価格改定も顧客の理解を得ながら進めていく。
〈早期受注や発注管理奏功/今期5年ぶり価格改定へ/トンボ〉
トンボのスポーツ商品本部は今春の入学商戦で、早期受注や発注管理、国内外での生産キャパシティーの確保などに注力したことで、安定的な生産、納品につなげることができた。同社は「3月のスクランブル発注が大幅に解消され、残業時間の削減など労働環境の改善も図れた」とする。
ブランド別では、「アンダーアーマー」の新規獲得が拡大。ピステスタイルとトレーニングウエアを組み合わせた独自のウオームアップウエア「ピストレ」は撥水(はっすい)や吸水、起毛などの特徴を持つ7パターンの豊富な生地ラインアップが好評で、新規獲得校の半数に近い採用を得る。同社が得意とする昇華転写プリントの学校オリジナルデザインで差別化を図り、新規の多くの学校が採用している。
2024年6月期のスクールスポーツ事業の売上高は増収を達成。一方、利益面では原材料価格や加工料などコストアップの影響により厳しい状況となった。
今期は、原材料価格の高騰や円安が継続していることから、5年ぶりの価格改定を顧客の理解を得ながら進めている。
来入学商戦に向けて営業面では、アンダーアーマーやピストレなどのブランドを中心に、10月末までの注文確定を目指す。
生産においては、国内外で必要なキャパシティーを確保。さらに、納期対応力の強化に向けて自社生産比率の向上を計画しており、社内で縫製班を増設しながら実現につなげる。
また、シーズン対応では、アイテムを多品種生産できる多能工化も引き続き進める。昇華転写プリント商品の採用が増加傾向にあることから、昇華転写プリンターやプレス機、自動裁断機(CAM)などの設備投資も計画する。