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大和紡績 結果積み上げ基盤固める

2024年08月16日 (金曜日)

 大和紡績の産業資材、製品・テキスタイルの両事業とも第1四半期(4~6月)業績は、前年同期を上回るペースで推移した。青柳良典取締役製品・テキスタイル事業本部長兼産業資材事業本部長は、ダイワボウホールディングスグループから独立し新たな資本体制になり、「スピード感を持って対応できる体制に変わりつつある」と話す。

今期(2025年3月期)からスタートした3カ年の中期経営計画の達成に向け「結果を積み上げながら事業基盤を固める」考えだ。

 第1四半期は制汗シートやフェースマスクの販売が伸びた合繊事業も含め、全社的にも増収増益だった。製品・テキスタイル事業は、前期の第4四半期から春夏物の受注が堅調。調整局面に入っていたインナー製品を中心とした対米輸出も回復基調にあり、「90%ぐらいまでには戻っている」。新たな商談も進みつつあると言う。

 産業資材事業は分野によって凹凸があるものの、計画に「近いところまで来ている」。前期不振だった電子部品向けカートリッジフィルターは、取引先の工場の稼働率が上がりつつあり、「本格的な回復は下半期からになる」との見方を示す。

 下半期に向け、「前期を上回るだけでなく、計画もクリアしていきたい」。フィルターでは原料から製品までの一貫生産体制を構築しており、播磨研究所(兵庫県播磨町)での研究と出雲工場(島根県出雲市)を連携させながら高機能化を推進。独自の繊維技術とフィルター製造技術を融合させて開発した、精密ろ過機能を備えたカートリッジフィルター「セキソウ」や「ウェーブスター」を軸に需要を捉える。

 新型フィルターの試験も進めており、中計の3カ年の間には「しっかりと形にしていきたい」と話す。

 製品・テキスタイル事業では暖冬の影響を懸念するが、高まるサステイナビリティーへのニーズに対応し、環境配慮型素材を拡充。リサイクルポリエステルを米綿で包んだ2層構造糸「ツインレット」や生分解性のポリエステル繊維使いの生地「パルテラ」などの拡販に取り組む。

 トレーサビリティーに対しても米綿100%の「テキサス7」といった素材をそろえる。これらの特徴のある素材を使った製品OEMで市場での認知度を高め、リピートや新規開拓につなげる。