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綿紡績大手の4~6月期 繊維は回復基調も力強さ欠く

2024年08月14日 (水曜日)

 綿紡績大手の2024年4~6月期連結決算が出そろった。繊維事業では前期からの値上げ効果に加え、在庫調整にあったユニフォームなどの受注が回復基調にあることを受け、クラボウが黒字化、シキボウも利益改善が進んだ。円安や原材料・原燃料高によるコストアップが継続しており、利益面では力強さに欠く結果となった。

 クラボウは原糸の販売が減ったものの、カジュアル向けテキスタイルでタイ子会社と中国子会社の受注が堅調だったことに加え、繊維製品もユニフォーム、カジュアル向けともに受注が堅調。暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「スマートフィット」も労働安全に対する企業の関心が高まっていることを受け販売が伸び、増収となった。

 シキボウは売上高が前年同期並みとなったが、利益面ではユニフォーム地の価格改定が進んだことや、中東民族衣装向け生地輸出が好調だったことで大きく改善。ニット製品で不採算分野の見直しが進んだほか、生活資材のリネン資材分野で新規顧客の獲得も進んだ。

 日東紡の資材・ケミカル事業全体では減収減益ながら、繊維だけを見ると4、5月に前倒しの需要があり、生産は順調。6月に入り勢いは落ちたが、第1四半期としては前年同期比増収だった。第2四半期以降は不透明ながら「予想通りの販売になる」としている。

 富士紡ホールディングス(HD)は、インナーの「BVD」など繊維製品で継続的なSNS、検索広告などのウェブマーケティングの強化に加え、ネット専用製品を拡充し、効果的な商品訴求を促進。高品質な日本製品が評価され、海外向け販売は好調だった。利益面は円安による原材料や資材などの価格高騰が続いており、売上総利益率が低下した。

 ダイワボウHDグループから独立した大和紡績は、今期から計画を公開していないものの、第1四半期は増収増益だった。特に合繊事業で制汗シートの販売が増えているほか、フェースマスクの販売も新型コロナウイルス感染症5類移行後の活発的な消費行動によって好調。産業資材、製品・テキスタイルの両事業も前年同期を上回るペースで推移した。

 日清紡HDの上半期(1~6月)は、売上高183億円(1・0%減)、営業損失1億6300万円(前年同期3億1300万円の損失)で減収ながら赤字幅は縮小。シャツとユニフォーム事業は減収で損失が拡大したが、ブラジルは受注が回復した。