帝人 “実行力”取り戻す
2024年08月08日 (木曜日)
帝人の内川哲茂社長は、これまで取り組んできた課題3事業の収益性改善策の成果に手応えを示した。2024年4~6月期決算でも改革効果が追加発現したことで増収増益を確保した。「各事業とも、失われていた“実行力”を取り戻しているという実感がある」と話す。
同社はこれまで、業績が低迷するアラミド、複合成形材料、ヘルスケアの3事業の収益性改善のための改革を実施してきた。23年度までに生産性の改善と安定化、不採算品の縮小など進めた成果が表れている。
このため24年4~6月期も売上収益2553億円(前年同期比11・5%増)、事業利益104億円(115・7%増)と大幅な増収増益を確保した。特に課題事業であるアラミドと複合成形材料を抱えるマテリアルセグメントは売上収益1232億円(16・7%増)、事業利益24億3800万円(前年同期は4億3600万円の損失)と劇的に改善した。複合成形材料事業で改革効果の追加発現を実現したほか、高付加価値品販売の拡大とコストダウンを進めたことが成果を上げている。
今回の改革を振り返り、内川社長は「急激に事業を拡大させたタイミングで新型コロナウイルス禍が起こり、活動が制限される中で当社の対応力が不足していたことが反省点」と話す。その上で「ポートフォリオ改革によって、やるべきことを絞り込んだ。改革を進める中で、失われていた“実行力”を取り戻しているという実感がある。それが数字にも表れた」と手応えを示す。
また、システムインテグレーター子会社であるインフォコム(東京都港区)の株式売却を決めたことで24年度中に約1300億円の譲渡収入がある見込みとなった。この資金を今後の成長投資、有利子負債の返済、株主還元に当てる。具体的な配分に関しては第2四半期決算発表時をめどに全体像を示すとする。