繊維ニュース

クラトレのスポーツ事業 供給力強化と新規開拓

2024年08月07日 (水曜日)

 クラレトレーディングのクラベラ事業部は、2024年度下半期(7~12月)のスポーツ素材・縫製品販売に関して、引き続き有力取引先との取り組みを強化する。そのために海外縫製拠点への投資も実施し、供給力を強化した。海外市場を含めた新規開拓にも力を入れる。

学校体育服に関しても用途拡大に対応した素材提案に取り組む。

 24年度上半期(1~6月)のスポーツ素材・縫製品販売は、主力の縫製品でラケットスポーツやアウトドア分野が好調に推移した。有力取引先アパレルの販売が堅調なことに加え、インバウンドが需要を底上げしている。

 十字断面ポリエステル繊維「スペースマスター」はマテリアルリサイクル原料に変更し、透け防止・遮熱・UVカット機能素材「エクステージ」はJEPLAN(ジェプラン、旧日本環境設計)のケミカルリサイクル原料を使用したタイプを提案するなどで差別化素材の投入でも成果が上がる。一方、学校体育服は苦戦。流通在庫増加でアパレルの生産調整が続いている。

 また、原燃料費の高止まりに加えて物流費や人件費の上場が激しく、スポーツ素材・縫製品販売全体では増収を確保したものの、利益面は前年同期比横ばいで推移した。

 下半期は、引き続き有力取引先アパレルとの取り組みを強化する。そのためにベトナムの縫製拠点で設備投資を進め、捺染工程も増強するなど供給体制を拡充した。

 海外市場を含めた新規開拓にも力を入れる。そのために昨年発表したシンジオタクチックポリスチレン(SPS)繊維「エプシロン」など独自性の強い商材の提案に力を入れる。アウトドア向けリップストップ生地にポリアリレート繊維「ベクトラン」、シューズ向けに人工皮革「クラリーノ」を提案するなど事業横串の取り組みにも力を入れる。14日から始まる国際展示会「インターテキスタイル上海」にも出展し、これら商材を積極的に提案する。

 学校体育服に関しては市況の回復を待つことになる。ただ、近年は体育の授業以外の時間帯でも体育服を着用するケースが増えるなど体育服の“制服化”が加速している。こうした用途拡大に対応した素材提案に力を入れる考えだ。