ごえんぼう
2024年08月07日 (水曜日)
アリは働き者というイメージがある。イソップ寓話の『アリとキリギリス』でも、冬を越すため、暑い夏に毎日必死に食糧を家に運び込んで、遊びもせず真面目に働き続ける姿が描かれる▼進化生物学者の長谷川英祐氏著の『働かないアリに意義がある』を読むと、そのイメージが覆る。働きアリの2割は働かない。働くアリだけを選抜したコロニー(集団)でも、働かないアリだけを残したコロニーでも、元のコロニーと同様に働くアリと働かないアリに分かれ、2割は働かなくなるという▼一見非効率だが、働いていない“余力”のあるアリがいることで、予測できない事態が起きた時に対応でき、長期的な存続が可能になると説明する▼企業でも無駄を排して効率を高めることは重要だが、余力のない状態では、生物学で言う環境変動の「予測不可能性」への対応が難しくなる。日々の仕事に追われながらも、少しだけ余裕を持ちたい。