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ユニチカトレーディング 原点回帰で早期黒字化を

2024年08月06日 (火曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)の芦田直彦社長は、今期(2025年3月期)の方針として「自社の強みを生かす“原点回帰”」を掲げる。これまで実施してきた事業構造改革を引き続き推進すると同時に、素材開発力や海外を含めたサプライチェーンなど強みを生かすことで、早期の黒字化を目指す。

 同社はユニチカの繊維事業の中核会社だが、23年度はユニチカ繊維事業とUTC単体ともに営業赤字となるなど苦戦が続く。このためこれまで「見直す」「伸ばす」「減らす」「増やす」をキーワードとする事業構造改革に取り組んできた。6月に就任した芦田社長も「引き続き『見直す』『伸ばす』『減らす』『増やす』を継続する」と強調する。

 「見直す」として、既存商品の価格改定を進めると同時に、不採算品の縮小を進める。「増やす」は、海外市場を含めて自家生産品の販売拡大に取り組む。そのために国際展示会「インターテキスタイル上海」にも出展し、グローバル提案を強化する。「減らす」として引き続きコスト削減に取り組む。「伸ばす」として自社の技術を生かした新商品開発や環境配慮型商品の拡販を進める。

 その上で芦田社長は「自社の強み、弱みを改めて見直し、強みを生かす“原点回帰”を基本方針に掲げる」と話す。自社の強みとして長繊維から短繊維までを含む素材開発力と、海外の生産・販売拠点によるサプライチェーンを挙げ、これを活用したグローバルな販売拡大を目指す。その一例として、昨年開発したカポック繊維を芯、綿を鞘に配置した複重層構造糸「パルパー×カポック」など独自性の強い商品の評価が高まっていることを挙げた。こうした取り組みを加速させることで、早期の黒字浮上を目指す。