繊維ニュース

商社/再生素材をユニフォームに/環境保全につながる意義訴求

2024年08月05日 (月曜日)

 企業活動を継続していく上で、サステイナビリティー対応が必須の要件とされる中、業務で着用するユニフォームに環境配慮型の素材を取り入れる企業が増えている。こうした企業に向け、各商社も独自の再生素材の提案に力を入れ始めた。(強田裕史)

 豊島は、海岸などで回収した漂着ペットボトルごみを環境負荷の低い新しい製品へと再生させる取り組み「UpDRIFT」(アップドリフト)を展開する。原料となるペットボトルごみは、地方公共団体や企業と連携して行うビーチクリーンアップ活動で回収する。活動は沖縄県石垣市などで実施してきた。

 これまで趣旨に賛同した企業のアパレル製品や時計の素材に使用された実績はあったが、今年は企業のユニフォームまで広がっている。ドトールコーヒー(東京都渋谷区)が約8年ぶりに一新するユニフォームに採用された。12月から全国約2万人の従業員が着用する。

 ユニフォームの製作はオンワードコーポレートデザイン(東京都千代田区)が担っており、同社が手掛ける化粧品・健康食品製造・販売のファンケル(横浜市)のユニフォームにもアップドリフトが使われている。

 MNインターファッションは、海洋ごみ由来の再生ポリエステルの独自ブランド「ONE OCEAN」(ワンオーシャン)を、企業用ユニフォームに向けて提案している。これまでワンオーシャンの生地でTシャツなどを製作していたが、ユニフォームでの使用に合わせ、ワンオーシャンにストレッチ性や静電気防止の機能を持つ糸を組み合わせた生地を開発した。

 提案を進めるのは、法人向けにユニフォームのOEMを担う「機能衣料部機能衣料課」で、ユニフォームを通じ、サステ対応に積極的な企業姿勢を打ち出せるメリットを訴求する。

 同社はワンオーシャンについて、米国や台湾の大手原糸メーカーと協業しており、海洋の廃ペットボトルを使用している証明書の発行などを受けることもできると言う。

 サービス業をメインターゲットに据え、織物を中心に提案を広めていく。

 モリリンは、資源回収・再生事業のトムラ・ジャパン(東京都中央区)と協業し、国内1600カ所以上で回収されるペットボトルを原料とする高純度ペレット「ボトリウム」を使った繊維製商材の販売を進めている。ユニフォームも重要商材に位置付け、採用に向けた提案に力を注ぐ。

 ボトリウムは、ペレット化までの工程で一貫して環境配慮がなされているのが特徴で、ペットボトルの圧縮工場も徹底した省エネ施策のもと、薬品を使用しない手法で粉砕片を洗浄する。

 こうした生産背景などを含め、国内で資源が循環するシステムの拡大を図る社会的意義を発信していく。