エイガールズ 個展で実力確認し自信

2024年08月05日 (月曜日)

 丸編み地製造卸のエイガールズ(和歌山市)は、海外販売を加速する。先月にフランス・パリで開いた初の個展は多くの顧客が来場するなど成果を収め、続く見本市でも良い商談ができたようだ。個展、「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ25秋冬」(2~4日)、イタリアの服地見本市「ミラノ・ウニカ(MU)25秋冬」(9~11日)の凱旋展示会をこのほど東京で開催した。

。同社の山下智広社長は「個展で自分たちの実力が確認できた」と自信を示し、今後も欧米を軸に販売拡大を図っていく。

 個展は、パリ市内マレ地区のギャラリーで先月1~3日に開催した。同社は2004年に国際的な服地見本市、PVパリに初出展し、山下社長は「20年というタイミングで個展の開催を決意した。エイガールズがこの20年間で付けた実力を確認したかった」と個展開催に至った理由を説明した。

 展示会では、同社のコレクションに加え、バイオベンチャー企業のスパイバー(山形県鶴岡市)と協業で開発した生地を並べた。また、エイガールズがディレクションを担い、産地のブランド化を目指す「和歌山ニットプロジェクト」の製品も展示し、いずれも評価が高かったと言う。

 スパイバーとの協業では構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(BP)」でモノ作りを行った。綿混や「テンセル」混、ウール混、BP100%生地を作ったが、ゲージの工夫や染色・加工会社との連携で柔らかな風合いを実現した。「エイガールズらしい心地よい風合いが表現できた」と強調した。

 和歌山ニットプロジェクトには、オカザキニット、風神莫大小、紀南莫大小工場、美和繊維工業、ヤマヨジャージィなど10社が参加した。エイガールズの独自素材「ロータス」を使って、それぞれが得意技術を駆使して作った製品を並べ、4社が個展に帯同してプレゼンテーション・接客を行った。

 続く「PVパリ25秋冬」では、欧州企業に加えて、中国や韓国企業などとも商談を重ね、今後のアジア拡大に向けて弾みをつけた。イタリアの服地見本市、MU25秋冬も盛況で米国のメゾンなどと商談を行った。

 山下社長は「全体としては良かったが、個展に限ると60点」としつつ、「手応えは感じられた」とし、中国を中心とするアジアを含め、海外販売は「もっと拡大する必要がある」との考えを示した。世界で活躍できる人材の育成のほか、「将来は海外拠点の構築も検討する」とした。