エドウイン/国産ジーンズ好調続く/生地はクラボウ、カイハラと共同開発
2024年08月02日 (金曜日)
エドウインが展開する国産ジーンズ「503」が好調に推移している。2022年9月にシルエットやデニム生地の生産方法などを刷新し、以降は計画比の20%増の売上高となった。人気のストレッチ素材を混紡したタイプに加え、今秋にはコットン100%の本格派ジーンズという二段構えになる。
当初からストレッチ素材の混紡ジーンズが好調だった一方、取引先では本物志向のジーンズが求められているとの意見を受け、コットン100%のジーンズを新たに製作。素材調達や加工、縫製は国内で行い、新しい品番も国産ジーンズとして訴求する。
デニム生地は、カイハラ(広島県福山市)と共同開発した。緯糸は裁断片をベースとした反毛綿を混紡した糸を使用。経糸は2種類のむら糸をランダムに配列した。再生デニム生地だが、独特の粗野感が特徴。染色もカイハラの水使用量、化学薬品の使用量を削減したインディゴ100%のロープ染色を採用した。
今年5月からトライアル販売を実施し、売り上げも好調なことから本格展開に至った。洗い加工を駆使した表面感はラギッド(無骨)なもので、定番のストレートシルエットが中心になる。価格は1万4300円。洗い加工は、エドウイン最大規模の自社工場「ジーンズM.C.D」(秋田市)で行った。
一方のストレッチ素材を混紡したデニム生地は、クラボウが展開する裁断片などを開繊、反毛技術で再資源化する「ループラス」を採用。はかなくなったジーンズを消費者から回収し、リサイクルしている。継続することでループラスの習熟度も向上し、生地も安定供給されている。
他の品番では、ビンテージ感のあるセルビッヂ生地を使った「505」も堅調で、消費者の本物志向を取り込んだ。売れ筋の平均単価は1万7千円前後。ワイドやルーズシルエットが動き、国産のデニム生地や自社工場で縫製した生産面にも支持が集まっている。
一昨年から続くジーンズの古着ブームも追い風になっているようだ。東京・原宿エリアにあるエドウインの路面店(渋谷区)では、欧米やアジアの訪日客が国産ジーンズを求めて多数来店している。売り上げの約8割がインバウンド客で占められる日も多いと言う。
インバウンドの6割強が欧米客の売り上げで占められている。既に海外での需要を見込み、欧州では英国のパートナー企業との連携を強化。欧州ではライセンス企画を軸とするが、日本製ジーンズの輸出も増えてきた。価格は3~5万円とやや高額になるが、英国をはじめ、フランスでは品質の高い日本製の取引が増えている。
米国では、有力バイヤーが集まる展示会へ出展、卸事業で販路を開拓。アジアでは台湾のパートナー企業と連携し、台湾市場向けのライセンス企画で売り上げを伸ばしている。