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第10回猛暑対策展/ペルチェ式の提案活発/冷却ウエアさらに多様化

2024年07月29日 (月曜日)

 冷却ウエアの多様化がますます進んでいる。東京ビッグサイトで24~26日に開催した「第10回猛暑対策展」では、今夏一気に普及したペルチェ式ウエアの提案が盛んに行われた他、定番の電動ファン(EF)付きウエアをはじめ、水冷、冷却装置を組み合わせた製品などが出そろった。同時開催の労働安全衛生展ではアシストスーツ(AS)の出展が目立った。

 今夏、販売が順調なペルチェ式ウエアへの注目度が高まっている。ニッケグループのサンコー(東京都千代田区)は、環境温度から最大で19℃冷却するペルチェ式ウエアが好調で、今季計画分3万着は完売。背中の冷却プレートに加え、両サイド2カ所にEFを搭載するダブル冷却仕様で、来季に向けデバイスの効率性をさらに高めていく方針。

 ミズノがペルチェ式ウエア市場に参戦した。スポーツウエアで蓄積したノウハウを生かしたベストと、ネック、インナーキャップタイプを投入。ペルチェデバイスは昭和商会(名古屋市昭和区)製を搭載する。今季はテスト販売の位置付けだがベストタイプは既に完売しており、来季からの本格展開を目指す。

 室谷(大阪市中央区)は冷温両用タイプの新作を発表。ペルチェデバイスを背中~腰、両脇下の好みの位置に面ファスナーで取り付けできる点が特徴。アジャスター付きでペルチェプレートを体に密着させ固定できる。

 クロダルマ(広島県府中市)は、首裏、両脇の3カ所にペルチェを配置したベストタイプを訴求。専用ミニバッテリーを使用し環境温度から最大18℃冷却できる。

 猛暑対策の定番アイテムとなったEFウエアでは、空調服(東京都板橋区)が限定商品のウルトラマン空調服や、空調ベッドを訴求。サンエス(広島県福山市)は、「空調風神服」シリーズをアタックベース(同)、コーコス信岡(同)、ビッグボーン商事(同)、大川被服(岡山県倉敷市)の計5社による共同ブースで打ち出した。エヌ・エス・ピー(岐阜県中津川市)は、上部ファン仕様のベストに縦胸ポケットを配置した新作などを出展した。

 水冷式ウエアは、冷却効果を高めた改良タイプの出展が中心となった。OEMを含めて今季20万着を販売している山真製鋸(浜松市)の新作は、専用チャージボトル3本で連続9時間使用できる。

 ビッグボーン商事は、バッテリーやファン、保冷剤を使わず、水を入れるだけの気化熱冷却システム採用のベストを紹介。EFウエアとの重ね着でより効果を発揮する。

 バイク用品メーカーのアールエスタイチ(大阪府東大阪市)は、化粧用品メーカーのマンダムとメントール配合の専用冷却水を共同開発。腰に装着したボトルから5分ごとに冷却水をアンダーウエアに自動で噴射する送水チューブ一体型3Dメッシュベストを紹介。元はバイク用に開発、EFウエアの下に装着することで胸部と背中により冷たさと涼しさを送る。

 繊維専門商社チクマ(大阪市中央区)は、産業機械製造の櫻製作所(同淀川区)と共同開発したドライアイス製造装置と合わせて使用する冷却ベストを提案。マイナス79℃の手の平サイズのドライアイスを首、脇下の収納ポケットに入れる仕様で動き回る作業に向く。粉塵や防爆エリアでも着用できる。

〈ASブースも盛況〉

 同時開催の労働安全衛生展では、アシストスーツ協会に加盟するアルケリス(横浜市)、イノフィス(東京都八王子市)、加地(島根県奥出雲町)、ダイドー(大阪府河内長野市)、日本シグマックス(東京都新宿区)、ダイヤ工業(岡山市)、クラボウ、Asahicho(広島県府中市)の8社がASの体験をメインに共同出展し、多くの来訪者で賑わった。

 ユーピーアールは単独出展でプロ仕様を追求した最新の外骨格型パッシブタイプや、日常生活で気軽に使用できるASを訴求した。