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スタイレム瀧定大阪 各所で商工連携進む

2024年07月26日 (金曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、全国の染色加工場や織り・編み企業とさまざまな取り組みを進めている。狙いはリードタイム(LT)の短縮。商工連携でサプライチェーンの強固化を図り、国内外に迅速に生地を供給する。

 モノ作り企業との取り組み活動の中心役を担うのは、2021年2月に発足したテキスタイルSCM推進部。飯田悟司テキスタイルSCM推進部長は「あの手この手でLT短縮を実現していっている」と取り組みの成果を強調する。

 各社との取り組み内容は多岐にわたり、詳細は明かせないが、例えば染色加工や織布のスペースを早い段階で抑えておくことが基本になる。アパレルから想定数量の生地発注が入らないなどの危険性ははらむが、そこまでしないと人手不足、スペース不足が顕在化する日本の生地生産現場でLTを短縮することは難しいとの認識だ。

 SCM推進部発足以降に頻度を一気に高めた産地ラウンドによって、あらゆるモノ作りの情報も集まるようになった。その結果、例えば「今は〇〇産地のサイジングが空いているから糸を送れ」など、産地をまたいで生産を采配するケースも増えた。薬剤メーカーとの協業にも乗り出しており、ここでも染料・薬剤の早期手配などでLT短縮が実現していると言う。

 取り組み先を選定する際に重視するのは、日本ならではの独自性を持っている点。同社が成長戦略を描く海外市場に売り込むためには日本製の価値が必須だからだ。

 また、国際的なリサイクル原料の第三者認証であるグローバル・リサイクルド・スタンダード(GRS)やリサイクル・クレーム・スタンダード(RCS)、動物福祉・環境基準をクリアした羊毛のコンテンツ認証基準であるレスポンシブル・ウール・スタンダード(WS)といった国際認証を取得する企業も、選定時の優先順位は高くなる。特に海外市場ではこれらサステイナビリティー、トレーサビリティーを確保する認証が重視されているためだ。

 モノと機能の両面で「どこにもまねのできないサプライチェーンを築いていく」とし、今後も国内モノ作り企業との商工連携を強めていく。LT短縮とスペース確保に向けて将来的には直接的な設備投資を行う可能性も否定しない。