逆境下で攻める深圳高級アパレル(中)「フレーム・ファン」創業者 範 麗麗 氏
2024年07月24日 (水曜日)
サブブランドで新市場開拓へ
――「FRAME FAN」(フレーム・ファン)は、ブティックなどへの卸売りがメインの高級ブランドです。
2015年に創業しました。製品の卸売市場に出店する店舗を通じ、ブティックやネット通販などの顧客に卸売りしているほか、(アリババ集団のネット通販サイトの)「タオバオ」(淘宝)の店舗を通じた小売りも手掛けています。売上比率は卸売りが8割、小売りが2割です。卸売り市場の店舗は、深圳南油市場3店、上海七浦路市場1店、杭州四季青市場1店の計5店あります。
――卸売市場を通じた高級ブランドの販売は中国でも珍しいですね。
卸売市場と聞くと安物をイメージしがちですが、高級市場もあります。こうした市場をターゲットにした高級ブランドや製品が少ないのは、市場がないのではなく、運営の難度が安価な製品に比べて高いからです。
卸先は、新型コロナウイルス禍を経て大きく変化しています。従来は全国の高級ブティックの実店舗がメインでしたが、コロナ禍後はオンライン販売が増えています。実店舗の経営者が店を閉じ、動画を配信しながら商品を売るライブコマースや「私域」(プライベート・ネットワーク網)と呼ばれるSNS「微信」(ウィーチャット)のアカウントにひも付いた顧客に対し、微信で直販するようになっています。
――製品の素材やデザインにとことんこだわっています。
生地は、イタリア製のオリジナル生地がメインです。リッチーリ社やサティ社の生地が多いです。日本は森下メリヤスの編み物がメインで、東レグループや第一織物などとも取り組んでいます。
縫製は、浙江省徳清の自社工場で行っています。縫製工80人の規模です。規模を拡大する予定でしたが、この業界は人手不足が深刻で、増やせていません。
――24秋冬から若者向けのサブブランドを始めます。
メインブランドよりも価格を抑え、若年層向けのデザインにします。これまで卸先からサブブランドの要望がありました。サブブランドのポジションは競合が少なく、大きな潜在市場が存在します。
サブブランドは卸売りに特化します。一方のメインブランドは、卸売りから小売りにシフトしていきます。現在、深圳などの商業施設と出店交渉を続けています。このシフトと同時進行で、メインブランドの価格をさらに上げていきます。
(深圳=岩下祐一)