繊維ニュース

東レ 産資も一貫体制強化

2024年07月24日 (水曜日)

 東レの沓澤徹専務執行役員繊維事業本部長は、同社が現在取り組む赤字事業・会社の収益を改善する「ダーウィンプロジェクト」(Dプロ)の対象となっている繊維関連事業に関して、「やるべきことは見えており、それを確実に実行することで改善が進んでいる」との認識を示した。また、今後の拡大領域として、エアバッグなど産業資材分野でも原糸から加工品までの一貫生産体制を強化するとの考えを強調した。

 4月から繊維事業本部長に就いた沓澤専務執行役員は、同社の繊維事業に関して「引き続き東レグループの基幹事業であり、まだまだ収益拡大の余地は大きい」と強調する。特に技術開発とグローバル展開、衣料分野で実践してきた糸・わたから縫製までの一貫生産・販売体制が柱になっているとの認識を示す。

 このため産業資材でも一貫体制構築への取り組みを強化する。特にエアバッグは基布だけでなく縫製工程への参画を拡大する。自動車内装材用途で拡大が続く人工皮革も原反販売だけでなく加工関連工程にまで参画することを視野に入れる。そのほか、衣料用途ではナイロン織物の輸出拡大やニット生地・製品に拡大余地があるとして「委託生産を担う産地企業との連携を一段と強める」との考えだ。

 一方、課題としてDプロの対象となっているポリプロピレンスパンボンド不織布(PPSB)事業とポリエステル短繊維事業の収益改善を挙げる。規模縮小も含めた生産最適化に取り組む。「高付加価値化と同時に、設備ごとに最適な生産品種を明確にし、効率的な生産体制を作る」とする。

 特にPPSBに関しては、構造的な需給ギャップという問題はあるものの「主要用途の紙おむつは需要が拡大している地域もあり、大人用の需要も増えている」として、韓国、中国、インドネシア、インドの各拠点で生産品種の再編も含めた最適化を進める。また、国内の滋賀事業場(大津市)の試験機を活用し、新商品・用途開発に取り組む。

 ポリエステル短繊維も生産品種の高度化を進め、汎用用途だけでなく「特品でニッチ用途を攻めることが必要」と指摘。こちらも日本、韓国、インドネシア、マレーシアの拠点で生産体制の全体最適化を進めることで収益改善に取り組む。