ごえんぼう
2024年07月24日 (水曜日)
ある染色加工場では、今年の新卒採用者がゼロだった。取らなかったのではなく、取れなかった。複数の高卒者を採用しようと求人を出していたが、かなわなかった▼他の産地や染色加工場でも同じようなケースが相次いでいる。先週の小欄でも触れたように、工業高校卒業者への求人が激増しているとのことだが、そのあおりを繊維関連工場が受けている▼冒頭染色加工場のケースでは、近くの大手自動車メーカーが高卒の就職希望者を根こそぎ確保したとのこと。他の産地でも、大手上場企業の工場などが大量に人材を集めだした際や、大型商業施設が建設された際に、近くの繊維工場があおりを食う▼人手不足を理由に操業時間を制限する工場も多い。人を集めるには賃金引き上げと労働環境の見直しが必須。どちらもお金がかかる。業界全体で人と金の不足を解消しない限り、「日本の弱点」とされる納期問題は改善されない。