ごえんぼう

2024年07月23日 (火曜日)

 古典落語の演目の一つに「まんじゅうこわい」がある。若手が演じる前座ばなしの位置付けが強いが、5代目柳家小さんら名人と呼ばれた落語家も長く演じた▼直接の原話は、江戸期に出版された笑話集「笑府」の訳本というから古い。大まかに言うと、怖いものなしとうそぶく男が、「実はまんじゅうが怖い」と周りをだまし、まんじゅうにありつく話。食った後に「茶が怖い」でオチる▼特定の対象や状況、場面などに対して恐れが生じることを恐怖症と言う。高所恐怖症や閉所恐怖症など、学術用語になっているものだけでも二百種類を超えるらしい。まんじゅうに恐怖を覚えることもあり得るのかもしれない▼職場恐怖症という言葉もある。人間関係や困難な仕事を抱えて、会社にいくことが怖くなるそうだ。山積み状態の仕事、目前に迫っている納期。やるべきことが多く、怖いことばかりの毎日に、「休みが怖い」と独り言。