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チャイナナウ/新体制で中国内販本格化/「F/CE.」クリエーティブディレクター 山根 敏史氏(前)

2024年07月18日 (木曜日)

 日本のアーバンアウトドアブランドを代表する「F/CE.」(エフシーイー)が、中国内販を本格化する。伊藤忠商事グループと連携し、現地の顧客が買いやすい仕組みを構築する。同ブランドを運営するオープンユアアイズ代表で、同ブランドのクリエーティブディレクターを務める山根敏史氏に、ブランドの詳細や今回の提携の背景と抱負、今後の計画を聞いた。(上海支局)

  ――御社の概要は。

 オリジナルブランドの「エフシーイー」と、デンマークのアウトドアブランド「ノルディスク」のコンセプトストア「ノルディスクキャンプサプライストア」を運営するファッションとアウトドアの会社です。エフシーイーは東京、大阪の直営店各1店とECサイトでの小売り、および国内外のセレクトショップへの卸売りを手掛けています。ノルディスクキャンプサプライストアは東京2店、大阪1店、京都1店の計4店を展開しています。

  ――エフシーイーは、「and wander」(アンドワンダー)と双璧をなす、アーバンアウトドアのパイオニアですね。

 ファッションとファンクション(機能性)を融合したブランドです。2010年の創業当時、アーバンアウトドアを打ち出すブランドはまだありませんでした。(同時期に出てきたアンドワンダーはアウトドア色が強いのに対し)われわれはファッションやカルチャーにこだわっています。

 ブランド名の「F」はファンクショナリティーとファッション、「C」はカルチャー、「E」はエクスプロレーション(探索)の頭文字です。毎年一つの国を旅して、その国のカルチャーなどからインスピレーションを得て作品を作ります。

――早くから海外市場に売り込みを図ってきました。海外売上比率は。

 約半分を占めています。市場別の売上比率は、日本50%、欧州30%、中国がメインのアジア20%です。米国はまだありません。海外の卸し先は、50~60社です。

――中国内販の現状は。

 約7年前から手掛けています。21年がピークで、その後低迷しています。背景は、中国国内の消費の不調もありますが、それ以外に内外価格差などいろいろな問題があります。そのため、このほど当社と伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)、上海のセレクトショップのDOE(ディーオーイー)の3社で連携を始めました。

 ITSは中国生産の専門家であるとともに、「グラミチ」などのブランドを運営し、中国全土のセレクトショップに通じています。同社と代理店契約を結び、中国国内の販売権を渡しました。中国での卸売りと物流、生産を任せます。

 これにより、これまでのように中国で縫製した製品を日本に送り、再び中国に輸出する必要がなくなります。日本の1・6~1・7倍していた価格を、1・3倍程度に抑えることができます。販売先のセレクトショップは、タイムリーに商品を仕入れることができ、煩雑な輸入手続きもなくなります。

 ディーオーイーは、中国トップクラスのセレクトショップです。現地を意識したエフシーイーのブランディングとマーケティングを担っていきます。