ごえんぼう

2024年07月22日 (月曜日)

 「暴力は憎しみを増すだけである」。そのような言葉を残したアフリカ系米国人公民権運動の穏健派指導者だったキング牧師も、凶弾によって倒れた一人だった▼先日、選挙集会で演説していたトランプ前大統領が銃撃され、奇跡的に右耳の負傷だけで済んだ。最近では5月に中欧スロバキアのフィツォ首相が銃撃され、未遂に終わった。2年前には日本で安倍元首相が狙撃され命を落とした▼銃での要人暗殺が、その後の歴史を変えることがある。1914年のサラエボ事件がそうで、第1次世界大戦の引き金となった。もっとも事件が起こらなくても戦争は早々に起きていたとの見方もある▼トランプ前大統領を狙った容疑者はまだ20歳だそう。サラエボ事件も6人の暗殺グループの内、5人は20歳未満だった。「歴史を変えるのはいつも若者だ」という歴史家の言葉がある。ただし、若さゆえの過ちは、取り戻せるものだけに限るが。