LIVING-BIZ vol.108(7)/特集 寝具寝装モノ作り/「ITF2024」/JBA/SHA
2024年07月17日 (水曜日)
〈JBA/メリハリ付け事業推進/ヘルスケアや災害対応など加速〉
日本寝具寝装品協会(JBA)は2024年度、寝具業界内外の環境を分析してJBAの事業の強み、機会、脅威を洗い出し、各事業にメリハリを付けて推進する。6月下旬の第11期定期総会で承認された。
西川八一行会長は、「(政府の)『骨太方針2024』でも睡眠に言及されるなど、健康のために睡眠、寝具を重視する機運が高まる半面、気候変動に伴う自然災害の頻発や消費の変化、羽毛原料の高騰、円安など厳しい面もある。これらを踏まえ事業の優先順位を明確にした。関係省庁・団体との連携も強め、寝具業界の健全な発展と国民生活の向上に取り組む」と話した。
最優先は“強みを最大化”する事業。8社77アイテムに広がる「ヘルスケア認定寝具」制度では、経産省ヘルスケア自己宣言マークの露出拡大や、自主ガイドラインへの「防災型」項目追加を検討。災害支援備蓄防災型への認定を視野に関係省庁へ働き掛ける。
「睡眠環境・寝具指導士」の資格事業では、有資格者への教育拡充、企業への資格保有手当導入策を検討。災害対応では、災害避難時の睡眠環境による2次健康被害防止対策も講じていく。
二つ目が“強みで脅威に対処”する事業。羽毛ふとんの生産コスト上昇に伴う品質偽装が懸念される中、トレーサビリテイー監査認証システム「J―TAS」の普及推進に力を入れる。スマートフォンで読み取れるQRコード付きネーム・ラベルに変更し、消費者に分かりやすく安心安全を訴求しつつ、採算も改善。産学連携の「スリープイノベーションプラットフォーム」など睡眠関連団体との連携強化、大手流通業やSPAなど小売り企業のJBA加盟促進も進める。
三つ目が新機軸を投入し“弱点を補強”する事業。災害対応では、JBA提供のふとんと全国段ボール工業組合連合会提供の段ボールベッドとのサイズ連携、寝具リサイクル事業では新たにウレタンフォームの回収スキームも検討していく。
委員会・事業部会の再編・体制強化による各事業の活性化、運営コスト低減と会費の値上げなど“弱みの最小化”にも努める。
〈「ITF2024」/23日から新宿で開催/インドの250社集結〉
インドのアパレルとホームファッションの展示商談会「第14回インドトレンドフェア(ITF)2024」が、23~25日に、東京都新宿区の新宿住友ビル・三角広場で開催される。日印国際産業振興協会(JIIPA)が、インド政府繊維省関連団体、在日インド大使館などの後援・協力を得て主催する。
インド全土から約250の企業・団体が出展。日本のトレンドに合わせた多種多様なウエアやアクセサリー、ホームファッション製品を紹介し、輸出を促進する。JIIPAは「日本の貿易がインドブームを迎えており、両国間の貿易は急速に拡大しつつある」とし、今展で対日輸出のさらなる拡大を後押しする。
出展者は伝統的な手織りや手染めの保全に努める企業、リサイクル素材使いなど環境に配慮したモノ作りにこだわる企業、女性の教育・自立を支援する企業、フェアトレードを推進する企業など多岐にわたる。
エイティーン・ドラゴンフライ(マハラシュトラ州)は、リサイクル製品対象の「GRS」やオーガニック製品対象の「GOTS」といった国際認証を生かし、リサイクルコットンに植物染めをした生地を用いた紳士・婦人服を提案。ラグジュアリー・ホームファニシング(ハリヤナ州)は扇状バスマットやラグ、膝掛け、寝具など幅広く打ち出す。
同国は綿、ジュート、シルクの世界最大規模の生産国であり、機能性繊維やビスコースは世界第2位の生産国。そうした豊かな素材背景と、世界的な繊維製品製造拠点の強みを生かし、日本企業の生産機能誘致にも力を入れる。
〈SHA/「スリープサポート認証制度」始動/製品の“質の見える化”へ〉
寝具、製薬、家電、ソフトウエア、食品など異業種16社から成る睡眠ヘルスケア協議会(SHA)が、「スリープサポート認証制度」を開始した。エビデンス(科学的根拠)に基づいて睡眠関連製品・サービスを評価。消費者が安心・信頼して選べるようにするとともに、業界の健全な発展を促す。
経済産業省の「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」に準拠し、日本睡眠学会所属の大学教授ら研究者4人と弁護士1人の外部有識者から成る認証評価委員会が審議し、SHAの理事会が認証。エビデンスのレベルに応じて、ゴールド、シルバー、ブロンズの認証マークを付与する。
健康志向から睡眠対策への意識は高まり、ヘルスケアにおける睡眠市場は2千億円規模と言われるが、エビデンスの有無が不明確な玉石混交の状態が課題となっている。あるアンケートで「信頼性に足る客観的データを容易に知る機会があれば購入の参考になる」と答えた人は96%に上った。
スリープテックベンチャー、ニューロスペース(東京都墨田区)の社長でもある小林孝徳理事長は「睡眠ヘルスケア製品・サービスの“質の見える化”が急務。本認証マーク付き商品・サービスを利用することで国民の健康増進、医療費削減、産学連携によるヘルスケア産業の健全な発展に貢献したい」と話した。
認証はSHA加盟社の製品・サービスが対象で、初回として枕や掛けふとん、エアコン、睡眠改善プログラムなど7社7件が申請中。早ければ秋口に認証マーク付き商品・サービスが市場に出る予定だ。
ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方に準拠した睡眠関連の認証制度では、既に日本寝具寝装品協会が「ヘルスケア認定寝具制度」を実施しており、異業種連携のスリープイノベーションプラットフォームも今春「睡眠ソリューションの有効性評価に関するガイドライン」を策定。SHAを含め3団体が取り組んでいる。将来的に、それぞれの関係性や共通項などを消費者に分かりやすく示せるよう、団体間の協議も進めている。